いつもと違う。
「ただいまぁ。」
1週間ぶりに帰宅したが、
何も変わってなかった。
「あらおかえり。」
リビングに行くと、台所から母の声がした。
何も喋ることなく自分の部屋に向かった。
階段を上がって、すぐのとこ。
「・・・ん?」
ふと、何か違和感を感じた。
見た目何も変わってないが、雰囲気?
とにかく違和感を感じる。それも私の部屋から。
『誰かいる?!』
でも、誰が・・・?
恐る恐る、部屋のドアを開けてみる。
「!!!!」
そこには、
「あ。」
いるはずのない
「なんで・・・」
15年前に死んだはずの、
「おかえり。」
成長したお兄ちゃんの姿があった。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「お・・・お、お兄ちゃん?」
「おう。」
小さい頃の面影が、若干残っていた。
髪のくしゃくしゃ感と匂いと顔。
「なんでいるの?」
「なんとなく。つかお前、きも。」
この口の悪さ、全然変わってない。
「きもくないし。」
「きもいから。なに?そのスカートの短さ。つか、学校は?」
「・・・行ってない。」
「はぁ?!」
「なに?」
「お前最低。」
最低なのはどっちよ。
「てか、なんでいるの?死んだぢゃん!!」
「死んだよ。」
「墓に帰りなよ。」
私も最低かもね。
「帰りたいさそりゃ。でも、帰れねぇんだよ。」
帰れない?なんで?墓に何かあったわけ?
さっきから、死んだお兄ちゃんと会話しているが
頭の中はまだパニック状態。
これは夢なのかもしれない。いや、夢であってほしい!
「なんで来たの?」
「さぁ~?俺も、気付いたらここにいた。まぁしばらく世話になるわ。」
「はぁ?!自分勝手すぎない?」
「うっせぇよ、俺は兄だぞ?世話しろ!」
「やだ。私、また家出るから。」
「は?なんで?」
そっか。お兄ちゃんは、今の私のこと何も知らないんだっけ?
この家が嫌いになったこと。
今の人生がフラフラしてること。
自分の居場所ってものが、わからなくなっちゃったこと・・・。
お兄ちゃんがいなくなってから15年間、
私の中でいろいろあったんだよね。
「お前・・・いくつになった?」
「18歳。」
「そっか。」