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序章
―あれは、私が3歳という幼い頃だった。
「なぁ夏美。」
「なぁに?お兄ちゃん。」
「クリスマス、何が欲しい?」
「んーとねぇー・・・」
幼い私は欲しいものがたくさんあった。
お人形さんや、お菓子やおままごとセット・・・
でも一番欲しかったものは、
「なつみねぇ?じてんしゃほしいっ!」
「自転車?!お前、乗れるっけ?」
「ううん!お兄ちゃんにおしえてもらうのー!!」
「仕方ねぇ~な~!んじゃ、お前がもうちょっと大きくなったら
お兄ちゃんが教えてやるよっ!」
「ありがとうお兄ちゃん!!!」
私はお兄ちゃんが大好きだった。
口が悪くて、おっちょこちょいで何をやっても不器用。
そんなお兄ちゃんだったけど、
3歳の私をずっと守ってくれたんだ。
「俺がずーっと、お前を守ってやるからなっ約束だ!」
約束・・・したのに、
お兄ちゃんは私を置いて、遠いところへ行ってしまいました。