11.武器…必要?
あの日以来、ちょこちょこ平原を探索するようになった。
ある日はまた土の壁に囲われ、ある日は数千の騎馬突撃に参加する羽目になって、落馬した。
そんな…もはや『ジルコニア』をやっているとは思えないゲーム生活の中で、ライカはたくさんの『実装されなかったアイテム』達を得た。
例えば…『トレンチ・ホイッスル』。これを鳴らせば、MPを5消費して50人のNPC兵士を敵へ突撃させられるらしい。
効果時間は1時間。彼らは昔の軍服を着て、ライフルと銃剣を持っている。
「じゃあ、私のMP、計200を全部注ぎ込めば…2,000人の兵士を攻撃に参加させられるの?」
ライカはベルカにそう聞いた。
「んー…『ジルコニア』のNPCは弱いって相場が決まってるから…召喚したところで、大した戦果もあげられないんじゃない?それに、ライカは通常攻撃だけで敵をなぎ倒せるでしょ?」
ベルカはそう答えた。
「えー…でもライフルたくさんあると強くない?NPCがちょこちょこって戦ってくれるの楽だし」
逆張りである。
「…そもそも…ライカ、貴女の持ってるそのライフル、何に使うの?」
ベルカはライカの銃を指差してそう言った。
ちなみに『ジルコニア』ではライフルは存在しない。
中世っぽい世界観を維持するためで、登場するとしてもせいぜいマスケット銃である。
「んーと…遠距離攻撃に使うよ」
ライカは肩にかけているライフルの紐をぎゅっと握り、そう言った。
「……じゃあ、試しに、遠くのアレを撃ってみて」
そう言いベルカが指し示したのは、カカシだった。
ライカは渋々といった顔でカカシに銃を向ける。
引き金を引いた。
次の瞬間、閃光。
ドンッ!
ほんの少し遅れて低い音が鳴る。
ライカは反動で大きく仰け反った。
カカシを見ると、周りの地形ごと抉れ、吹き飛ばされていた。
「あ…………え?………え!?ちょ…そのライフル、詳細見せて?」
言われた通りに、メニュー画面の『持ち物』を開き、詳細を見せる。
ベルカは1つの表示に目を止め、そして大きくため息を吐いた。
「………やっぱり、これ『近接武器』扱いだ。多分、銃剣付いてるせいで…」
「…?どういうこと?」
「えーっとね。一般的な遠距離武器って、『遠距離武器』って分類されてて、攻撃力が固定されてるの。対して『近接武器』はそのプレイヤーの『物理攻撃力』に依存する」
…何となく読めてきた。
「つまり、私はライフルを発射することで、『通常攻撃』を遠距離に放てるってこと?」
「…そう。本当に大砲じみてきたわね」
ベルカはため息を吐いた。




