不完全燃焼
出会いの無い別れなどあるのだろうか? そもそも別れとは、出会いがあってのものではないのか?
はー、なんでそんな事を考えているのかって? それは私が出会いの無い別れを経験したからよ。
時は遡ること三日前────
「お見合い!?」
「そ、家は少し離れるけど、同じ町内で代々続く農家の次男坊。歳はあんたの三個上だね」
残業帰りの疲れた頭に、母がいらぬ情報を詰めてくる。
「ちょっと待ってよ、あたしに彼氏いるの知ってるよね」
「500キロ離れた土地の長男坊なんて知らん。あんたはうちの近くで分家になりなさい!」
そう言って母は話を切った。うちは古くから続く農家だ。とはいえ私は次女、家を継ぐのは姉だし、どこに嫁ごうが構わない身なのだが、彼氏が遠方の長男とわかってからは母の妨害が酷い。
彼を家に連れてきても、そそくさといなくなる。聞こえているはずの挨拶も、聞こえないふりで立ち去る。完全無視の嫌がらせだ。
長男に嫁いだ母がこの家で苦労してきた事も知っているし、心配してくれるのもありがたい。だけど、だけどね、結婚となると話は別。今回のお見合いはきっぱりと断らせていただきます!
この時の私は、三日後に自分が断られる側になるとは思っていなかった。
* * *
日曜の朝、台所にやってきた私に母が言った。
「あの話、向こうから断ってきたから、無くなったよ」
は? 何すか? その「今朝は晴れだよ」みたいなノリは! そもそもそちらから来たお話なんじゃないんですかー!
なぜだろう、怒りがわくのはなぜだろう。会ってもいないのに? はぁ? 断ると? 向こうから断ってきただとー? はぁ! 何が不服なの? ねぇ?
容姿? 性格? 学歴? んん?
頭の中がぐるぐるでぐちゃぐちゃだ。
いやいやいや、こっちも断るつもりだったし、同じくらいに失礼なことを言ってる訳なんだけどもね。うんうん。
あちらも彼女さんだったり、お見合いが嫌だったりしたのでしょうけれど。そうそう。
私も断るつもりだったし、どのみち結果は同じだから万々歳なんだけどね!!
……会ってもいないのにフラれた感じがするのは、なぜなのだろう。
完




