第九話☆新聞図書館
新聞図書館へ行った。
目当ては海外の新聞。日付のなるべく新しいものを探すけど、数か月単位でまとめて送られてくるらしいから、読むのは過去のニュース記事。
おかしいよね?「ニュース」って新しいって意味があるらしいし、「新聞」も新しく聞く、って書くのに。
お目当ての、雨降り皇国の新聞は、用紙が変わっていて、多少水に濡れても文字が滲まないし、用紙も破れにくい。
自動音声読み上げ機とか、自動翻訳機とか、いろいろ便利な道具がしつらえてあるけれど、僕はポケットから辞書を取り出して、持参したノートに文章を書き写し、首っ引きで意味を調べ始めた。
こうすることには意味があって、自分で書くと覚える率が高くなり、外国の言葉が少しわかるようになってくるんだ。
「えーと、第二皇子、長年のひざのリウマチ治療。雨が降り続き、湿度が高いわが国では、多数の国民がリウマチを患っている。かくいう第二皇子もその一人で、苦しんでおられるのを見かねた侍従たちが海外に派遣されてリウマチ治療を行うことになった。
民間療法で、ヒポクラテスという魔法使いがリウマチ治療に参戦。
特殊な蜂を連れて、皇子の元を訪れ、蜂の針で皇子の膝を差し、見事治療に成功。皇子はぴょんぴょんとびはねるまで回復しており、寝たきりだった生活から、いたずらっ子まるだしの活動的な生活になったという」
へえ。よかったね、皇子!
ぼくは全然知らない皇子に親近感を覚えた。まだ子どもだそうで、遊びたいざかりだったんだろう。治ってよかったね。
でも蜂の針は痛くて怖かったろうなぁ。
アナフィラキシーにも気を付けないと。
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いいニュースだ。