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第七話☆お隣さん

「今いい?」


お隣さんが窓を開けてこっちに呼びかけた。


「いいよ」


屋根を伝って、ぼくの部屋に来る。


ときどき世話焼きにやってくるけれど、きまぐれだからいくら待っても来ない時もある。


「お風呂入った?」


「昨日ね。まだ髪が半分乾いた状態」


「あー。ほっとくと臭くなるよ」


「だいじょーぶだいじょーぶ」


「櫛と鏡持ってきて」


「うん」


素直に言うことを聞く。


「だいぶ伸びたね」


ぼくの髪を櫛で漉いてくれる。


「せっかくきれいな緑の髪なんだから、いつもお手入れしなきゃ」


「ぼくは男だからそういうのは別にこだわらないよ」


そういうお隣さんは、綿菓子みたいなふわふわの茶色の髪だ。くせっ毛が大変そう。


じいっとぼくの目をのぞき込む。


「きれいな目」


「そうかな?」


鏡に映るぼくの目の色を、ぼくは見ることができない。


「どんな色?」


「瑠璃色」


「赤いの?」


「青だよ!」


「ふうん」


なぜか、自分の目の色だけがぼくには見えない。


「もどかしいなぁ」


「そう?」


「君の目もきれいだね。ぼくもそんな色ならいいな」


「ほんとに見えないんだ」


「うん。ほんとだよ」


「こんど……」


「?」


「瑠璃色の石を探して見せてあげる」


「本当?」


「うん。今度。そのうちにね」


ぼくはうずうずする。おあずけくらった愛玩動物みたいだ。



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