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第六話☆タイプライター

タッタッタタカタカタカ、チーン!


タタタタッタカタカタカタタ、チーン!


リズムに乗りに乗ってキーを押してゆく。


なにかって?


タイプライターだよ。


ぼくの知ってる言語に対応したもので、赤い本体に金の装飾。ぴかぴかの新品……?かな?なにしろお店のショーウインドウにずっと飾られていたんだ。


鐘の音で文字列の次の行へ移動する。


打ち損ねたら後で手書きで修正する代物で、手間がかかる分愛着が湧いてとてもいい。




お話、お話。


そのタイプライターには作家志望の女の子の幽霊が憑いていて、そのタイプライターを使う人をプロの作家にのしあげる。心地よく指が運び、言葉の泉から湧き出してくるインスピレーション。




そんなことを考えながら、また短編を一つ仕上げた。


ぼくが契約している出版社では、まだまだ力及ばずひよっこの分際で作家を名乗っている。ライバルがそれほどいない、いい時代だ。


でもうかうかしてられない。


隣の部屋に住んでいる女の子は編み物が趣味だったんだけど、一大ブームが訪れて、猫も杓子も編み物をするようになったんだって!


ぼくの作家業もそのうちいろんな人たちがわいわい参加し始めることだろう。


時代の流れはあっちへいったりこっちへきたり。いいものはみんな良いってわかる時がくるもんだ。


タカタカタカタカ、チーン!


未来を空想してそれが実現したらどんな気分だろうか?


ぼくだけの物語がみんなに当たり前のこととして受け止められるようになるのか?


それは喜ばしいことに思えるけれど、現実はそう甘くないからなぁ。たぶん、残念な気持ちにもなるかもしれないな。



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