何をどう頑張っても努力しても
「びゃ~っ!」
そうやって泣くミコナのことをハカセは理解しようとしました。なぜ泣いてるのか、何を伝えようとしているのか。
今のミコナには泣くことしかできないんです。何をどう頑張っても努力してもそうなんです。何の力も与えられていない。何か力を得るための時間も機会も全部これから。そんなミコナに大人と同じことを求めるとか、おかしいですよね?
大人だって理不尽なことを求められたら納得できないじゃないですか。自分はそうなのに赤ん坊に理不尽なことを求めるとか、おかしいじゃないですか。
だったら自分がそれを理解しようと努めなければいけない。
それができると思ったからこそミコナに来てもらうことを決意できました。それがなければ決意はできなかった。それどころか結婚すらしていなかったでしょう。
他の人はどうだとしても、ハカセはそうだったんです。
何があっても自分の力では対処することもできない 。そんな状態でこの世界に来てもらった。なんて酷いことをするんでしょう。赤ん坊を生むというのはそういうことなんだというのをハカセは改めて自分で確認しました。
自分が親になるというのはそういうことだとよく分かります。自分がどれだけ酷いことをしているのかを自分で確かめることができる。
そういう機会でもあるんでしょうね。そんな酷いことをしておいて、
『生んでやったんだから感謝しろ』
とか、
『育ててやってるんだから感謝しろ』
なんて、おかしいと思いませんか? ハカセはおかしいと思ったんです。結婚する前から、ミコナに来てもらう前からそう思っていました。それを実際に確認することができた。
だったらそれ以上酷いことをしないようにって考えるのは、そんなにおかしいことでしょうか?
『自分ばかり優先してもらって気遣ってもらって優しくしてもらいたい』
そんなことを考えてる人を尊敬できますか? しかもそれはいい歳をした大人なんです。親になれる年齢なんですから。
ルリアもハカセもそんな人を尊敬なんてできないと思うからミコナにとって尊敬できる人とまでは無理でもせめて酷いことをしない人でいようと思っていました。
赤ん坊だから大人と同じことなんてできません。その当たり前のことを分かって対処するだけです。
ミコナが泣けば放っておいたりしません。確かに、泣いてるからっていちいち対処してたら大変かもしれません。だけどそれは母親一人にやらせている場合ですよね? 大人が二人いて大人が二人で一緒に対処しててどうしてできないんですか? 仕事でそんなことを言ってたら怒られませんか?
仕事ならできて育児ならできないなんて、おかしくないですか?




