専用の洗浄機
ハカセはミコナのことをちゃんと見てくれるだけじゃなくて、いえ、ちゃんと見るために哺乳瓶を自動で熱湯消毒する専用の洗浄機を作りました。食洗器を改造して。
普通の食洗器もお湯で洗うものが多いですけどハカセのそれは九十度以上のそれこそ熱湯を噴射してその圧で哺乳瓶の中を洗うブラシも回転させるものでした。
奥から手前に向けてブラシが伸びていて、そこに哺乳瓶を刺すようにしてセットして扉を閉めてスイッチを入れると、ブラシが回転。哺乳瓶もブラシに擦られて回転。さらに熱湯も噴き出して消毒と洗浄を。
もちろん洗浄中はロックが掛かって扉は開きませんし十分に温度が下がらないとやっぱり開きません。
これのおかげで哺乳瓶の消毒・洗浄がすごく楽になりました。そしてこれを基にして商品化の話もあったんですけどさすがにお高くなってしまうので断念したという裏話もあります。
哺乳瓶の洗浄って必要な時期はそんなに長くないですから。
哺乳瓶って精々一年くらい長くても二年くらいしか使わないでしょう。子供が続けて生まれれば次の子にもそのまま使ったりもするでしょう、必ずそうというわけでもない。なのに試算するとどう頑張っても一般的な食器洗浄機よりも高くなってしまう。
それではさすがに買う人も決して多くないでしょうから商品化は断念されました。軽く手洗いしてから普通の食洗器で洗えば済みますし。それでも食洗器自体にカビが発生することもありますから、気になる人はさらにその上で煮沸消毒したりもしますけど。
ハカセは自分で作れるからコストとか関係なかったことでできたんですね。
加えて商品化自体考えてませんでしたから。あくまで自分達の負担を減らすことでミコナに注力できるようにというだけで。
もっともその哺乳瓶消毒洗浄機を作る手間自体も決して小さくなかったですけどね。
だけどハカセにとっては意味があったのでしょう。手間も手間とは感じなかった。だから問題はなかった。
それよりはミコナに注力したかった。ミコナに注力することもハカセにとっては大きな手間ではありませんでした。
やりたいことをしているだけだったからです。
『命って何だろう……』
そんなことも思います。
もちろん答は出ないですけど、考えること自体が大事でしたから。命というものについて考えるからこそ、ミコナのこともとても大切に思えました。ミコナが自分のところに来てくれたことを大変な奇跡だと思えたんです。
ルリアに子供を生んでもらうことを願ったのは自分の勝手だけれど、その上でミコナがここにいることはやっぱりとてつもない確率だとハカセには分かってしまいます。
だからとても愛おしくて愛おしくて。
いつまででも見ていられます。関わっていたいと思えます。




