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命のすごさを体現して

「私達のところに来てくれて、ありがとう……」


生まれたミコナを看護師が胸に抱かせてくれて、ルリアとハカセは自分達が親になったことを実感しました。胸がすごく熱くなりました。と同時に自分達が大きな責任を負ったことを実感したんです。


この世界のことを何も知らない命を自分達の勝手でこうして生み出してしまった責任を。


だけどそれは、これからたくさんの楽しいことを一緒に経験していけるということでもありました。そのために来てもらったというのもあるんです。


病棟中に響くような力強い声で泣くミコナに、ルリアもハカセも驚かされつつうれしくなりました。それは取りも直さずミコナの命の強さだという証拠だとも感じましたから。


その直感通りにミコナはとても元気で命に満ち満ちた赤ん坊でした。たくさん母乳を飲んでたくさんウンチをして。


命のすごさを体現していました。


計画無痛分娩だったことで自然分娩に比べると負担はかなり軽く済みましたけどそれでも出産というのは大きな手術をしたようなものでしたから、回復にはそれなりに時間がかかりました。そのこともハカセはちゃんと理解してくれていました。


だからミコナのことだけじゃなくてルリアのことも気遣ってくれたんです。オムツ替えもお風呂に入れるのもしてくれました。この頃はまださすがにミコナも何も分かってなかったかもしれませんけど、でも、ルリアもハカセも穏やかな気持ちでいてくれたからミコナの脳が発達する時に怖い思いをした経験がそんなに影響を与えずに済んだというのもあるはずなんです。


そしてミコナはすくすく育って、二人に笑顔を見せるようにもなってくれて。


その頃にはそれこそ経験したことをどんどん吸収していたはずです。それがミコナの基本的な人柄を作っていったはずなんです。


ハカセはミコナのことをちゃんと人間として扱ってくれました。小さくてまだこの世界のことを何も知らない、自分のことを自分で守ることもできない人間として。


だからミコナが何かを伝えようとして泣けばそれに耳を傾けるんです。


「うん、どうしたのかな? おなか減ったのかな? オムツ汚れたのかな? どこか痛いのかな? 怖い夢を見たのかな?」


そんな風に穏やかに声を掛けながら。ちゃんと彼女の顔を見ながら。


するとミコナの方もハカセのことを『怖い』と思わなかったみたいです。怖いと思うどころかハカセに抱っこされたら安心できるみたいですぐに泣き止んでくれて。


「パパのことが大好きなんだね」


ルリアもそれが嬉しくて笑顔になります。だってミコナのパパなんですから。パパのことが大好きってことだったら、生まれてきてよかったじゃないですか。



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