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言葉は通じなくても何とか伝えようと

だからルリアもハカセもとてもたくさんのことを考えて話し合ってきました。


『そういうことを相手に一方的に押し付けて自分は考えない」


なんてことをする人達じゃなかったんです。自分がそういうことを考えるのをしたくないからって相手にやらせようとしなかったんです。できないことは無理しないけど、じゃあ代わりに何ができるのか? というのはちゃんと考えていました。考えられる人でした。


ハカセは赤ん坊との接し方はまったく分かりませんでしたから、逆に赤ん坊だと思って接するんじゃなくて普通に人間だと思って接することを心掛けていました。相手は人間なんですから怒鳴られたり叩かれたりしたら嫌だと感じるのは分かってましたしそんなことは一切しなかったんです。


外国に行ったりして言葉は通じなくても何とか伝えようと努力したりしますのね? そしたら通じたりすることもありますよね? それと同じことでした。


人付き合いで大事なのは相手の言ってることに耳を傾けようという姿勢です。だけど相手の言ってることに耳を傾けたくない人は、


『相手の言いなりになるのはダメ』


という言い訳を使います。でもこれは相手の言ってることに耳を傾けるというのと言いなりになるというのとは違うってことが分かってないからこそそんな風に言うんでしょうね。相手の言ってることに耳を傾けてるからって言いなりになる必要はないんです。


しかもそれは相手の方も誤解してたりする。自分の言ってることに耳を傾けてくれるというのは自分の言いなりになってくれることだって思ってたりする人もいるのは確かでしょう。


そうです。『相手の言いなりになるのはダメだから言ってることに耳を傾けるのもダメ』みたいに言ってる人は『自分の言ってることに耳を傾けてくれるというのは自分の言いなりになってくれることだ』って思ってる人と同じことを思ってるんです。


『子供の話に耳を傾ける』ことと『子供の言いなりになる』ことは違います。その区別をつけられない人が、子供の話に耳を傾けない。


だけどルリアもハカセもその区別をつけられる人だったんです。だからミコナが話しかければちゃんと耳を傾けるしミコナが何かワガママを言っても慌てませんでした。そのワガママの内容にちゃんと耳を傾けた上で言いなりになるわけじゃなく聞ける時は聞くし聞けない時には「ごめんね」と謝りつつもしっかりと断ります。断る時にもちゃんと理由を説明して。


同時に聞ける時もなぜ聞けるのかを説明もしました。だからミコナは聞ける時も聞けない時もちゃんとそこに理由があることを知っています。


その手間をルリアとハカセは掛けてきたんです。その手間を惜しんで一方的に怒鳴ったり叩いたりだけで相手に言うことを聞かせようとするなんてやり方をしなかったんです。



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