自分が完璧な人間じゃないことは
ルリアもハカセも自分が完璧な人間じゃないことは分かっていました。だから最初から完璧な振りはしませんでした。失敗もするし間違いもする普通の人間だとミコナの前で等身大のただの人間な自分の姿を見せていただけなんです。
その上で、失敗したり間違えた時にはちゃんと謝るようにしたんです。
『失敗してない!』
『間違ってない!』
と誤魔化して完璧な振りをするんじゃなくて。そんな当たり前のことをしてきただけです。だけどそれができない親って少なくないんじゃないですか? 親としての威厳が損なわれるのを心配してるのかもしれませんけど、そうやって失敗や間違いを誤魔化して完璧な振りをしようとするその姿のどこに威厳があるんでしょう?
失敗も間違いも認めた上で改めようとする姿の方がよっぽど立派じゃないでしょうか?
だって人間なんですから。失敗も間違いもする人間なんですから。
そしてルリアもハカセも、ミコナの前で誰かをバカにしたりしませんでした。もちろんミコナのこともバカにしたりしませんでした。今でもしません。
だって親がそんなことをしてたらそんな風にするのが当たり前だと思ってしまいませんか?
世の中には誰かをバカにしたりするのを当たり前だと思ってる人がいます。ちょっと自分の価値観に合わなかったらバカにするんです。趣味とか服装とかだけじゃなく、その人の持ってるものとか、使ってるものとか、住んでる家が小さいとか古いとか、親の仕事とか、そんなことでバカにするのを当たり前のことだと思ってる人がいますよね?
そういう人はどうしてそう思うんですか? 自分の親が誰かをバカにしてたからですか? それとも親が自分のことをバカにしてたからですか? ミコナはそんなことしません。だってそれを普通のこと当たり前のことだと思ってませんから。
ミコナが他の人をバカにしないのは、ルリアやハカセがミコナに対してそんなことをしなかったからです。彼女が上手くできなかったり失敗したり間違ってもそれをバカにすることがなかった。だからミコナは誰かが上手くできなかったり失敗したり間違ってもバカにしたりしません。少なくても相手をバカにするつもりの言葉を選んだりはしません。
そして相手の容姿とか服装とか趣味とか嗜好とか境遇とか住んでる家がどうとかでバカにすることもありません。
だってそんな風にすることそのものを知らないんですから。ルリアとハカセがそんなのを見せてこなかったんですから。
ミコナが子供っぽい短慮でついつい好ましくない発言をした時には、そっと、
「今の言い方はよくなかったね」
と諫めてもくれました。その時も上手くできない彼女をバカにしなかったんです。だってそれじゃ意味がないですから。




