狡い人にとって得な社会
『自分の身勝手な考えで法律とかルールとかを捻じ曲げてしまう』
そんなことをしてたら、
『法律とかルールとかを守らない狡い人ばっかりが得をする』
ことになりますよね? その当たり前のことを分かっているだけなんです。それを分かってて身勝手なことをしないように心掛けてるだけ。自分が身勝手なことをしてたら他の人も『自分も同じようにできないのはおかしい』って考えるようになるんじゃないですか?
こうして狡い人にばかり有利な世の中になっていく。しかも狡い人はそれを権利だと思ってる。自分のために法律とかルールとかが厳格に運用されないのが正しいと思ってるんです。そういうのが『生き易い世の中だ』って思ってる。それはただ『狡い人にとって得な社会』というだけなのに。
他の誰かに対してはすっごく厳しいのに自分にはすっごく甘い。
狡いですよね。
ルリアもハカセも狡いことをして自分が得をしようとは思いませんでした。他の人がそうやって狡いことをして得をしていても『自分も』とは考えなかったんです。そんなことをしていたらミコナに顔向けできないと思ってましたから。
子供の前で狡いことをする人はどうしてそんなことができるんでしょうね。それは結局のところ自分に甘いからじゃないですか? 自分に甘いから狡いことをするのを恥ずかしいとも思わない。ルリアもハカセもそれを恥ずかしいと思うんです。だからミコナの前で狡いことをするのをすごく恥ずかしいことだと思うんです。
そんなルリアとハカセを見て育ったからミコナも狡いことをするのは恥ずかしいことだと思えるようになった。大好きなママとパパの前で狡いことをするのは恥ずかしいんです。そう思えるから大きな声で注意しなくても大丈夫なんです。
こんな風に言ってるとルリアとハカセがとても素晴らしい人のように思えるかもしれませんけど、確かにハカセは大変な発明をいくつも生み出して社会に対して大きな貢献はしてますけど、そういうことじゃないんです。だらしないところもあるし、失敗だってするし、間違うこともしょっちゅうです。
なにしろルリアは生きてた頃にはパックの牛乳を買い物袋に入れたまま床に置きっぱなしにしてうっかり踏んづけて床が大惨事になったことさえあります。
他にも洗濯物を干してる時に宅配が来てそれを受け取ったら干すつもりで置いてあった洗濯物のことをすっかり忘れて翌日までほったらかしにして、
「臭っ!」
と思わず声を上げるほど臭々にしてしまって洗濯し直すなんてことも。
だから決して完璧なんかじゃないんです。ただ、人として誰かを傷付けることとかをしたいとは思わないだけで。




