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大人の真似なんです

ミコナは大きな声を上げて力尽くで誰かに言うことを聞かせようとしたりしません。それはルリアやハカセがそんな形でミコナに言うことを聞かせようとしなかったからです。


だってそうでしょう? 親が自分に対して大きな声を上げて言うことを聞かせようとしていたら、子供だって『そんな風にするものなんだ』と考えるようになるとは思いませんか?


『子供は親の言うことに従うものだ』


と大人は思ってるかもしれませんけど、そんなのまだ言葉もおぼつかない乳幼児に分かるはずないじゃないですか。そういう<大人の理屈>よりも先に、


『相手に言うことを聞かせようと思ったら大きな声を出せばいいんだ』


というのを学んでしまうと思いませんか? だから言うことを聞かせようとして大きな声で駄々をこねたりする。


子供のそれは大人の真似なんです。子供が使うからただの駄々に見えるだけで。


『子供の駄々を収まらせるには成功体験をさせないようにする』


みたいなことを言われたりしますけど、本当にそうでしょうか? だって子供本人の成功体験よりも先に<大人の成功体験>を目の当たりにしてきてますよね? 


『子供に対して大きな声を出して強い言葉を使って時には脅して言うことを聞かせてきた』


という大人の側の成功体験を最も間近で見てきたのは子供本人じゃありませんか? その成功体験があるからこそ、


『自分も大きな声を出せば言うことを聞いてもらえる』


と考えてしまうと思いませんか?


ルリアもハカセもそれが分かっていたんです。だから大きな声を出すんじゃなく、強い言葉を使うんじゃなく、脅すような言い方をするんじゃなく、


『相手の言葉に耳を傾けて、伝えようとしていることに耳を傾けて、その結果として相手の納得を得る』


という成功体験をミコナに対して見せてきたんです。


大人は子供の前で大きな声を出して強い言葉を使って時には脅してそれで相手に言うことを聞かせるということをたくさんしてきてますよね? 子供に対してだけじゃなく、それこそ父親が母親に、母親が父親に、そんな風にして言うことを聞かせるというのをしてきませんでしたか? そうして実際に言うことを聞かせてたら子供が、


『こんな風にして言うことを聞かせたらいいんだ』


と思ってしまっても何も不思議はないと思いませんか? しかも、子供自身に対してもそんな風にするんですよ? 


『大きな声を出して言うことを聞かされた』


という経験を実際に経てきてるんです。その経験を活かして自分も同じようにすれば言うことを聞いてもらえると考えても何もおかしくないと思いませんか?


事実ミコナはそういう形でルリアやハカセに言うことを聞いてもらおうとはしませんでしたし。



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