どちらを選択しても
学校での個人懇談も終えて普段通りの毎日が戻ると、ルイネとエンファもまたミコナの家に遊びに来るようになりました。そこでルイネが、
「お母さんが学校で私がバドミントンをやってないか先生に聞いてくるんだよね。そしたら先生が『休憩時間や放課後に友達と遊ぶ感じでやってるだけですね』って言ってくれて。お母さんは私が他の子を巻き込んでバドミントンをむきになってやってるんじゃないかってのを心配してたみたい」
と言ってきました。そうです。ルイネの両親は彼女がバドミントンに熱をあげすぎて他の子に何か無理強いしてたりしないかというのを心配してたみたいですね。その一方で遊びとしてバドミントンをしている分には口出ししないようになってくれていたんです。
なんでも自分の思い通りにはなりませんけど、ルイネも両親といろいろ話をするようにして、バドミントンを楽しむだけなら許してもらえるようになっていたんですね。
かつてはプロのバドミントン選手だったルイネの両親ですけど、残念ながら才能としてはトッププロとは言えないものだったことですごい成績を残せはしませんでした。プロとしての収入も決して恵まれたものではなく苦労の連続だったといいます。
だからこそ一人娘のルイネには同じ苦労をして欲しくなかった。同じ惨めさを味わって欲しくなかった。
確かにルイネはバドミントンが上手です。だけどそれは両親も同じ。子供の頃、学校や近所ではまさしく無敵の強さを誇っていました。だから周囲からも期待されてプロを目指したんです。
だけど同じようにプロを目指す選手が集まってくる場所では二人の力はとても凡庸なものでした。それが現実だったということですね。
ルイネが確かにバドミントンは上手なのは知っていましたけど、プロとして大活躍できるほどのものでもないことは、実際にプロとしてやっていたからこそ分かってしまったのでした。
だけどもちろん、それだからといっても親が子供の夢や希望を早々に摘んでしまうというのもあまり褒められたものじゃないのかもしれません。
『やらずに後悔するよりはやって後悔したほうがいい』
なんて言われ方もしますしね。ただ同時に親としては自分がした苦労を子供にさせたくないというのも正直な気持ちとしてはあるのも当然でしょう。そういう気持ちはハカセやルリアにもあります。
だから本当は『やらずに後悔するか』『やって後悔するか』という話ではなく、どちらを選択しても後悔する可能性があるのであれば、
『結果として上手くいかないこともあるということをきちんと分かった上で、自分の散策に責任を持つということを、子供に分かってもらう』
のが大事なのかもしれません。躓いて挫けた時に支えてくれる誰かが傍にいるというのも安心感になるでしょうし。




