ホントに親子みたい
オウとフカは、ルリアに叱られて、どちらも不満そうにはしながらもそっぽを向いて静かになりました。こうしてみるとホントに親子みたいですね。
「うふふ……♡」
そんなオウとフカの様子にカリナはくすぐったそうに微笑みます。彼女にとっても可愛らしくて仕方ないみたいです。
すでに朝食は終えて、ミコナはその片付けを始めています。
「オウもフカも、こっちに来て手伝え!」
ウルが食器を運びながら言います。
「はん!」
「へっ!」
オウとフカがそう声を上げながら洗い場に向かいます。そしてルリアは、
「カリナは庭の掃除をお願い」
と指示し、洗い物を始めました。
「はい、承知いたしました」
カリナは応じて、庭に出ます。そして落ち葉とかを掃いて集めて、ハカセが作ったコンポストに。落ち葉や生ゴミを全自動で土に変えてしまう装置でした。
洗い物を終えて、ルリアとオウはリビングの掃除を、ティーさんはお風呂場の掃除を、ウルはトイレの掃除を、ミコナとガーは寝室の掃除を、フカは屋根の掃除を始めます。
みんなで楽しく。それがこの家の習慣。ルールじゃありません。誰かを縛るためのルールじゃなく、みんなで楽しくみんなの居場所を居心地よく保つための習慣なんです。
ハカセは、自分で研究室を片付けたあと、お仕事ですけど。他の誰も余計な手出しをしない代わりに、ハカセが自分で片付けることだけは、ルールですね。それがないと、ハカセは散らかしっぱなしにしますから。
そう、ミコナの家の<ルール>は、動機付けなんです。そのままじゃ進んでできないことをするための動機付け。ハカセの場合は、
『自分で掃除しないなら私が掃除します!』
ルリアがハカセに冠したルールでした。
一方、外ではまた、フカが屋根の掃除をしています。特に雨樋は汚れが溜まりやすい上に、下水へと導くパイプは普通にしてると掃除しにくいので、この辺りは周囲に緑も多いことが逆に災いして落ち葉とかも多く、それが原因で詰まったりしても対処が大変だったんですが、フカが担当してくれるようになってからはすごく快調でした。
「うおおおおおーっ!」
何本もあるパイプの中を、地下の一時貯水槽まで潜り、掃除します。
この辺りの家屋には大雨の際の都市型洪水を防ぐために、雨水を一時的に貯めておくための貯水槽があります。そこの部分から下水管に繋がっているパイプがあるんですが、それがすごく細くて、一度に大量の雨水が流れ込んでも下水道に流れ込む水量は抑えられて、下水道の処理能力を超えないようにしてるんです。
でもその時、
「ん……?」
数日前に雨が降ったことで濡れてた貯水槽の底に何かの気配をフカは感じたのでした。