母親なんて怖くない
タムテルの母親は実際の個人懇談の場でも明らかに大人の教師を見下しているような態度で一方的に話しただけで懇談を終わらせてしまいました。そんな母親の姿をタムテルは不愉快そうな目で見つめます。
六年生になり背も伸びて、中学の間には追い越せそうな印象さえあります。
そうやって実際に身長が母親を追い越してしまったらタムテルはもう『母親なんて怖くない』とも実は今の時点で考えていたりします。
だけど今の彼は自分より弱い虫をイジメたりもしません。フカが彼の正直な気持ちにたくさんたくさん耳を傾けてくれたことでもうその必要がなくなったんです。だから母親に対しても乱暴な態度は取らないでしょう。
無視したりすることくらいはあるかもしれませんけどね。フカも別にそのくらいなら気にする必要もないと思っています。
母親の方は、
『ここまで育ててやったのに!』
みたいに言うかもしれませんけど。
そんな風に危うさはありつつ、でも以前ほどの険悪さもなくなってきてますから大きく改善はしてるんですね。フカも傍で見ていてそれが実感できています。
だから、
『まあまあだな。悪くはないと思うぜ』
とティーさんに応えたんでしょう。
完全に良好な関係というのはなかなか存在しないですからね。ほとんどの人はなにかしらの問題を抱えつつ日々を送っています。ミコナ達だって家族関係は良好でもルリアが亡くなったり、かぷせるあにまるが不完全な状態だったりってこともありましたし。
そんな中でも生きて暮らしていくわけですから、ある程度の妥協が必要だったりもしますよね。
タムテルと母親の関係もそういうものの一つなんでしょう。母親にお説教をしたって反発するだけでしょうし、むしろ母親に共感する人もいるに違いありません。そこで揉めても拗れるだけでしょうね。
タムテルと母親は<別の人間>なんですからどちらか一方に完全に従わせるなんてのは元々無理なんです。
『親に生んでもらった』
『親に育ててもらった』
そんなことを言い出したらかぷせるあにまるであるフカ達なんて、
<ハカセに作ってもらった存在>
ですからね。だからってハカセはフカ達を自分の好きにしていいとは思っていません。作り出したのは自分ですけど、フカ達には間違いなく魂が宿りそれぞれ自分の心と感情を持っています。
それはちゃんとした事実なんです。ハカセはそれをしっかりと理解しています。だとすればミコナに対しては『それこそ』ですよね。
だってミコナは人間なんですから。人間として接する事を考えたら、いくら親だからって好きにしていいというわけではありません。タムテルの母親はそれを理解できていないということですね。




