自分が作りたいものと売れるものは違う
それはどちらの層をターゲットにするかできっと答が変わってくることでしょうからどちらが正解かということはあまり重要ではないのかもしれません。ただ同時に仕事として考えるのであればより多くの人に受け入れてもらわないといけないでしょうから再生数が伸びる方を選ぶ必要があるでしょうか。
『作品として考えるんなら、ひねった表現を使いたいんだけどな……』
そんな風にも思いますけど、それこそよく言われる<自己満足>になってしまうのかもしれません。
『自分が作りたいものと売れるものは違う』
的なこともよく言われますしね。
それは仕事としてやっていくにはやはり大事なことなんでしょう。
分かりやすく、でも気の利いた感じの詩と、耳に馴染む曲の組み合わせが、ヒットを生むのかもしれません。もっともそれを確実に再現できるなら誰でもいつでもヒット曲を生み出せるんでしょうけど。
『歌の道には進みたいけど、それだけで生活していけるとは限らない』
サンギータ自身がそれをよく理解してますから担任からは注意を促す必要はありませんでした。その上で母親のヴァドヤも彼女の夢を応援してくれているのが確認できてそういう部分では大丈夫そうだと担任は感じたようです。
「それでは今日のところはこれで終わりです。ありがとうございました」
丁寧に挨拶してもらえて、ヴァドヤも、
「はい……ありがとうございました」
深々と頭を下げて応えられました。担任が怖そうだったり横柄だったりしないので安心できたんです。
普通に考えたら大人ならそうやって相手を威嚇したり威圧したりせずに心地いい対応を心掛けるものでしょうけど、それが『礼儀をわきまえてる』ということなんでしょうけど、彼女の身近にいた大人達はそうじゃないのが多かったのも事実だったんですね。
こうしてサンギータの個人懇談は無事に終えられました。ティーさんはほとんどそばについているだけでよかった。ティーさんがそばにいるだけでも安心できるくらいにはヴァドヤも強くなれてきたということでしょう。
それを『強くなれた』なんて鼻で笑う人も多いでしょうけど<強さ>というものがそもそも相対的なものなのですから、以前の彼女に比べれば確かに強くなっているんです。
例えば昆虫は大変に力が強いとされていますが、それはあくまで昆虫の体重に比べて強いというだけで、哺乳類を同じ体重にしてみたらそれよりはとてつもなく強いというだけで、お互いそのままの本来の大きさで力比べしたら幼児だって昆虫には負けないですよね。
木にしがみついたカブトムシは子供の力じゃ引き剥がせなかったりもしますけどそれだってあくまで握りつぶしてしまわないように力の加減をしながらのことですしね。




