言葉に込められた想いを
担任の教師は続けます。
「サンギータさんは、国語については特に文章題が得意で、言葉に込められた想いを読み解く力が優れているようです。それと同時に作文も素晴らしいです。サンギータさんはご自身で歌を作って披露なさっているそうですが、自分の得意とすることを上手く活かしていらっしゃると思いますね。将来は歌の道に進まれるのでしょうか?」
その問い掛けには、
「正直、今はまだ分かりません。歌でやっていけたらと思ってますけど、さすがにそうそう上手くいくとも思えませんし、甘い世界じゃないですから」
強そうな見た目に拘わらず、サンギータは遠慮がちにそう言います。以前は大人に対して強い反発も見せていた彼女ですけど、今ではそこまでじゃなくなっていました。
けれど、そんな彼女の耳に、
「ギータちゃんは歌を続けた方がいいと思う」
小さいけれど、何とも言えない強さも込められた声が届いてきます。
ヴァドヤでした。思いがけないその言葉に、サンギータも担任の教師もハッとなります。
けれどすぐに、
「……ありがとう……」
サンギータがそう口にします。とてもやわらかい表情で。ヴァドヤの前でそんな表情をするなんて以前の彼女からは考えられないものです。だけど今はそれができるんです。それができるようになったんです。そういう関係を作れるようになったんです。
するとサンギータは、
「歌の道を目指して頑張りたいと思います。けど必ず成功できるとは限らないから、勉強も頑張らなくちゃいけないと思ってます」
担任に向き直って凛々しい表情で、そう告げました。
そんな彼女に担任も言うのです。
「そうですね。作詞をする時にはたくさんのことを知っているとそれだけ引き出しも多くなるでしょう。知識は荷物にはなりません。使い方次第で大変に役に立ちます。ないものを使うことはできませんから、得られる時になるべく得るようにしたほうがいいですね」
さらに担任は、
「それに学校で習う知識は日常の中でも何かと耳にする機会も多いものがほとんどですから作詩をする時にも役に立つと思います。馴染みのない専門書にしか出てこないような耳慣れない難しい言葉を並べるよりもたくさんの人に届く詩が書けるのではないでしょうか?」
とも告げました。
それを聞いてサンギータは、
『なるほど……!』
と思います。確かにこれまで彼女が発表してきた楽曲でも辞書を片手に頭をひねって難しい言葉を多用したそれはコメントでは評価の高い反応があったけれど再生数の伸びそのものは思ったほどではなくて、逆にその時に感じていたものを素直な言葉でつづったものについてはコメントでの反応は薄いけれど再生数については大きく伸びていたんです。
ということは難しい言葉を多用した楽曲については、刺さる人には刺さるけれども、わざわざコメント残したいと思わない気軽に楽しみたいと考えている人達にはピンとこないのかもしれませんね。




