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顔馴染みの警察官

以前の彼女は、それこそ警察官に心配されて呼び止められることさえありました。迷子とか家出とかを心配されたんです。実際にはただの買い物なのに。


それで一部の警察官とは顔馴染みにさえなってしまいました。それぐらい彼女の様子が普通じゃなかったんでしょう。


だけどそれも今はサンギータとの関係が改善し、さらにティーさんがこうして一緒に出掛けてくれることもあって、マシにはなっていました。マシにはね。


それでもやっぱり怯えているようにも見えてしまいます。


「やれやれ……」


サンギータはそんな母親の様子に呆れつつも怒っているような感じではありません。 怒ったところで仕方がないのは分かっているからです。ヴァドヤのそれはヴァドヤ自身でもどうにもならない心の傷、いわば<PTSD>に近いものでしょうから。


だから本当は病院で専門的な対処をしてもらった方がいいんでしょうけど、ヴァドヤ自身がそれを強く拒むので、行けていないんです。ヴァドヤにとっては病院さえ信用できない所なんですね。けれど、


「こんにちは」


不意に声が掛けられました。自転車に乗った警察官二人でした。その警察官のベテランそうな方の人が声を掛けてきたんです。顔馴染みの警察官でした。


「今日は娘さんとお出掛けですか?」


その警察官はサンギータのことも知っているのでちゃんと母娘だと分かってくれました。


でも、ヴァドヤは、


「あ……あ……」


と口ごもるだけで応えられません。するとサンギータが代わりに、


「はい、今から学校の個人懇談に行きます」


丁寧に応えてくれました。それに対して警察官も笑顔で、


「そうですか。気を付けて行ってらっしゃい」


応じてくれます。その上で、


「こっちは前日赴任してきた新人です。よろしくご指導ご鞭撻をお願いします」


一緒にいた若い警察官を紹介してきました。それは、ヴァドヤとサンギータに紹介するというよりはきっとその若い警察官にヴァドヤのことを伝えておこうと思ったのでしょう。


そのベテランらしき警察官が若い警察官にヴァドヤのことを紹介しようとしたのは、余計な誤解を生まないようにでしょうね。サンギータの見た目のこともあり事情を知らなければ不良に絡まれているようにも見えなくもないでしょうから。


そういうことを避けるためにも、いろいろと承知しておいてほしいんでしょう。その上で、


「こんにちは。いつもご苦労様です」


ティーさんに対しても挨拶してきました。ティーさんのこともそのベテランらしき警察官は把握していたんです。


以前、


「そちらは?」


訊かれたことがあって、


「ワイは<ティーさん>。かぷせるあにまるや」  


自己紹介したことがあります。それを聞いた警察官は、


「かぷせるあにまると言うと、先日発表された動く依代ですか!?」


さすがに驚いた様子で。だけどティーさんは、


「そうでんな。というてもワイは試作段階やったから誰かの魂が宿ってるとかいうのやおまへんけど」


笑顔で答えたのでした。



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