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ワイが一緒やから心配ありまへんで

「ほな、行ってきまっさ」


「うん、いってらっしゃい」


翌日、ウルと一緒に学校から帰ってきたミコナとそうやり取りして、ティーさんは出掛けていきました。サンギータとヴァドヤを迎えに行くためです。


そうしてサンギータとヴァドヤの家に着くと、


「悪いな、面倒掛けちゃって」


サンギータは申し訳なさそうに出迎えます。以前に比べるとかなり柔和な印象にもなりましたけど、それでもどこか鋭さを感じさせる目付きの彼女の背後には、気配を消そうとしてるかのように体を縮めて佇んでいるヴァドヤの姿。


家を出るために気持ちを作っているどころでした。


そんなヴァドヤにティーさんは、


「ワイが一緒やから心配ありまへんで」


と笑顔で語りかけます。


「は……はい……!」


消え入りそうではありますけど、ヴァドヤもそう返事をして家を出る準備をしたのです。


ティーさんと一緒ならと。


ヴァドヤは、ティーさんとガーのおかげでサンギータとの関係も改善して、そして何より買い物以外でも無理なく家の外に出ることができるようになりました。


と言っても、あくまで彼女基準の『無理なく』ですから、本当はすごく無理をしてるんです。以前よりはマシになったというだけで。


特に学校での個人懇談や三者面談といったものは彼女にとってはとても大変なものでした。それこそ決死の覚悟で臨むような。


彼女にとって人間はとても恐ろしい存在だったからです。恐ろしい両親の下から救い出してくれたと思った男性は結局、彼女を利用しようとしていただけで愛してなんてくれていませんでしたし。


しかも世間はそんな彼女の<弱さ>を責めます。


『弱いからいいようにされるんだ』


と。そうやって弱い彼女を傷付けようとする自分達の行いを正当化するために。


そういう諸々を考えれば、彼女が人間を恐れるのも無理はないんでしょうね。


だけどティーさんは、そんなヴァドヤに、


『強くなれ』


とは言いません。言葉でそんな風に言われただけで強くなれるなら誰も苦労はしませんし。強くなるにしても必要な手順を踏み段階を経なければ強くなんてなれません。体を鍛えるときだってそうですよね。ちゃんと理にかなった形でなければ鍛えるどころか逆に体を壊してしまうことだってある。


なのに無責任な人は無茶なことを言って、だけどそれで体を壊したりしても責任はとってくれないんです。


これは精神でも同じこと。むしろ目に見える形にしにくい精神についてはより一層、慎重な対処が必要なはずなんです。


本来は。


だからティーさんはヴァドヤ自身が『大丈夫』と思えるまで彼女に付き合います。


学校までの道のりでもヴァドヤはビクビクと怯えた様子でした。だけどこれでも以前に比べれば随分とマシになったんですけどね。



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