それが誇らしいんです
それでもミコナの場合にはむしろさらに笑顔が増えた印象があって様子を見守るだけで済んでいました。元々ウル達が先に来てそれに馴れていってましたしね。
だからミコナのことではそんなに話すこともなくて。
元々この時期の個人懇談って、家庭訪問では話しきれなかった詳細な連絡事項とか、保護者の側から学校に承知しておいてほしい注意事項とかを改めて伝えるための場といった感じのそれですし。
そんな感じであくまで<顔合わせ>だけで終わってしまいました。だけどこういう形でコミュニケーションを図るというのは実は大事なことなんです。教師としても顔も満足に知らない相手に対して親身になるというのは簡単なことじゃありませんから。
「本日はお忙しい中、ご足労いただきまして本当にありがとうございました」
最後に丁寧に見送ってもらえたのも結局はそれですし。
こうして滞りなく個人懇談を終えられてミコナとハカセとルリアは学校を後にしました。
フカは今日は個人懇談じゃないから早く帰ることになるタムテルと一緒に帰るために先に出ていますし、サンギータを見守っていたティーさんは今はもう彼女とは一緒に帰っていません。
というのも、中学生になりさらに精神的にも成長した彼女はティーさんにつきっきりになってもらう必要がなくなっていたんです。
そして中学校の方でも個人懇談が実施されていて明日がその予定でした。
家に帰ったルリアがミコナの個人懇談が滞りなく終えられたことを伝えるとティーさんは、
「ほな、ワイはサンギータはんの個人懇談の付き添いに行ってきまっさ」
と口にしました。それというのも、サンギータはだいたい大丈夫なんですけど、母親のヴァドヤはまだ一人では家から出られる状態じゃなくて、個人懇談や三者面談があるたびにティーさんが付き添っていたんですね。
「ティーさん、サンギータさんとヴァドヤさんをよろしくね」
翌朝、学校に行く前にミコナはティーさんに笑顔でそう声をかけました。サンギータだけでなく、ヴァドヤのことも気遣ってくれます。そんな彼女にティーさんは、
「ミコナはんはホンマに優しいなあ」
しみじみ嬉しそうにそう口にしました。ミコナが友達であるサンギータだけでなくその母親のヴァドヤのことまで気遣ってくれるのがすごく誇らしいからです。
ミコナは、口だけでなく本心から人を気遣うことができるんです。それは結局人を気遣えるだけの心の余裕があるということ。そして彼女にそれだけの心の余裕があるというのは、この家がそれだけあたたかく穏やかな環境であるという何よりの証拠。
それは翻って自分達がそういう環境をミコナに提供できているということでもあります。それが誇らしいんです。




