普段から丁寧に説いていれば
そうこうしている間に学校に到着し、ルリアとハカセは自転車置き場に自転車を置いて教室へと向かいます。
「パパ、ママ!」
教室の近くまで行くとその前で待っていたミコナが二人を見付けて声を上げました。
「お待たせ」
ルリアが言うと、
「いいなあ~」
隣のクラスの教室の前で待っていた女の子が呟きました。実はその女の子のお母さんも亡くなっていて、そして今は普通の依代に宿っていたんです。だから、かぷせるあにまるにママの魂が宿ったミコナのことが羨ましくて。
それと言うのもその子のお父さんはかぷせるあにまるのことをまだ信用できていなくて買っていないんです。
かぷせるあにまるが一般販売されるようになってからそれなりに時間を経ちますけど、大変な人気が出て売れていますけど、当然のこととして誰もがすぐに完全に受け入れられるというわけじゃないということですね。
だけどそうは言っても実際にウルやティーさんやガーやオウやフカといった事例を確認してその上で徹底した見直しを行ったかぷせるあにまるにはもう不具合と言える部分はほとんどありませんでした。
ただ、かぷせるあにまるが発表された後にそれを模して急遽作られた類似品の中にはきちんと起動しないものもあったりで、そういう意味ではせっかくのかぷせるあにまるの評判が下がってしまう結果にはなっていたりしますけど。
それを防止するためにセーラのお父さんの会社でも様々な特許申請をしていたのですが、だからこそ余計に、
『いかに特許に触れないような形で似たものを作るか?』
という流れになってしまっていて、結果、不具合が頻発しているという。
皮肉な話ですね。
『小型マナ転換炉を依代に使う』
という本当にざっくりした形で特許が取れればまだ違っていたのかもしれませんが、マナ転換炉そのものは様々な使われ方をしているので、それだけでは特許を取ることができなかったのです。
「いつか分かってもらえるように私達も頑張るね」
ルリアはその女の子に向かってそう告げました。ルリア達かぷせるあにまるとなった者達自身の振る舞いが信頼そのものに繋がっていくと考えたからです。むしろそれ以外では信頼など得られないでしょう。単なるセールストークではかえって穿った見方をされることもあるでしょうし。
「うん……」
女の子も、残念そうではありますけどすぐに自分の願いが叶うわけじゃないのは分かっているようでした。
こうして普段から丁寧に説いていれば子供にだってある程度は分かります。
だから女の子の家族も丁寧に説明してくれていたんでしょうね。
いつもは一方的に言われてたのでしたら、相手が下手に出るとこの時とばかりに強い態度に出てしまう子もいますから。
ルリアもハカセもそれを察してほっとした様子でした。




