一日が始まります
そうですね。野生の獣はそんなにゆっくり眠ることはできません。人間が寝るみたいに寝こけていては いつのまにか死んでいてもおかしくないですから。
だけど人間は一日に6時間も8時間も布団の中でベッドの上でぐっすりと寝ることができます。
それはどうしてでしょうか? そんな風にぐっすりと安心して寝られるように、たくさんの人達がたくさん考えて考えて工夫して、安心して寝られるようにしてきたはずですよね。
考えてたからそれが実現できたんです。何も考えなくても誰かが用意してくれたわけじゃありません。
そうですね。それこそハカセみたいな人がたくさん考えてくれたからですね。
そうやって誰かにたくさん考えてもらって自分は楽で安心した暮らしができるようになったのを何も考えずにただ享受しているだけというのは果たしてどうなのでしょう。
朝、夜明けとともにルリアが起きます。かぷせるあにまるになったことで眠らなくてもよくなったんですがミコナと一緒に寝たいから眠るようにしているだけです。
「……」
そしてまだ寝ているミコナの姿をとても優しい顔で見つめていました。
『こんなに元気に大きくなってくれたんだね……』
人間だったルリアが亡くなった時はまだ幼かったミコナが、今ももちろんまだまだあどけなさもありますけど、背も伸びて顔立ちも大人に近付きつつあり、それでいてとても穏やかな表情をしている彼女がすごくすごく愛おしい。
ミコナを置いて去らなければいけなかったことが本当に口惜しかったです。<心残り>なんて言葉ではとても言い表せないくらい。
だからこそこうして<かぷせるあにまる>として帰ってきた。帰ってこれた。ミコナと同じ人間の体じゃなくなったのは少し残念ですけど、一緒にいられることに比べれば些細な問題でした。
『……』
ルリアは、空が明るくなり、さらに日が昇ってくるまでただそうしていました。かぷせるあにまるとして戻ってきてからの日課になっていたんです。
そんな感じでミコナの寝顔を堪能したあと、カーテン越しに陽の光が差し込んできたのを察して、ようやく動き始めます。
するとその気配にガーも起きてきました。
「おはよう」
ルリアが声をかけると、
「おはよう……」
少し寝ぼけた感じでガーも応えて。そうしたら今度は、
「おはよ……」
ミコナも目を覚ましたんです。
「おはよう」
ルリアとガーが声を揃えて笑顔で応えて。
「どう? よく寝られた」
問い掛けたルリアに、
「うん!」
満面の笑顔で、ミコナも応えます。それは朝日にさえ負けないような素敵な笑顔でした。 今日もママがちゃんといてくれることを確かめられたからこその笑顔でした。
こうしてお互いの存在を確かめて、ミコナ達の一日が始まります。




