これでようやく
こうしてミコナやカリナが寝たあともハカセは黙々と研究を続けます。けれど日付が変わった頃にウルが研究室に入ってきて、
「そろそろ寝た方がいいんじゃないかな」
声をかけました。
「うん、そうだね」
ちょうどキリのいいところまで終えられていたのでハカセも素直に従います。これが途中までだったりすると、
『ごめん、もうちょっと』
ってことになったりもしますけど。
そうしてハカセは、お風呂に入って、それから一旦リビングに来て、体を冷まそうと寛いで。そこに、
「どうぞ」
ウルがぬるめのホットミルクを出してくれました。寝つきが良くなるようにということですね。
その上で、
「どうかな、調子は?」
問いかけてきて。
「そうだね、いい感じだね」
ハカセも穏やかな表情で応えます。そこに、
「せやな。これでようやく家族が完全に揃ったっちゅう感じやもんな」
ティーさんも話しかけてきたのでした。
ハカセも寝室に向かって、いよいよ静かになった家の中で、ウルとティーさんが、
「なんか、しっくりきたな」
「せやな。これが元々の姿やっちゅう感じがするわ」
「ああ、不思議だけど僕もそう思う」
「もしかしたらワイら、昔っから家族やったんかもしれんな」
「そうだな。亡くなった人の魂が帰って来るっていうのも、強い心残りがある人が帰ってくるというだけでそれ以前の人達は帰ってこないわけで、その魂はどうなったんだろうって思うと、心残りがなくなったから昔の記憶は全部忘れてまた新しく生まれてくるということかもしれない」
「せやせや、ワイもそんな気がしとる。けど、忘れててもどっかに引っかかるもんが残ってて、こうやって出逢おうたらそこが呼び覚まされてもうて、一緒におらんと収まりが悪いんかもしれへん。何の根拠もあらしまへんけど、そんな風に思えまんのや」
「そう考えると僕たちはなるべくしてこうなったと感じるね。運命って言葉に振り回されるのは僕は違うと思うけど、運命のようなものを感じる時があるってこと自体はそれほど不思議でもないと思うんだ」
「ワイもや。なんでも運命で決まっとるいう話やったら、ミコナはんがお母はんと別れなあかんかったんも運命やったんかって話になるさかいな。ワイはそんな運命は認めとうあらへん。断固拒否や。
けど、誰かを傷付けたり苦しめたりするんやのうて自分らを納得させるために運命ってことにする分には別にかまへんのやないかと思うねん」
「そうだな。僕もそれでいいと思う。なんでもかんでも四角四面に考える必要はないかなと思ってる。生きるって言うのはそんなにきっちり枠にハメられるようなことじゃないって今こうしていて実感があるよ」
「ホンマやな。全部かっちり決まってることやったら、ワイらはここにはおらんのやしな」




