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本当にびっくりしました

カリナと一緒に暮らしていた猫のルリアは、ある日突然、自分の縄張りだった場所に何人もの人間がドカドカと押し入ってきて、縄張りをめちゃくちゃに荒らし始めたことに本当にびっくりしました。


毛を逆立てて牙をむき出して、


「シャーッ!」


と威嚇しますけど、そいつらはぜんぜん怯む様子もなくて、すごく腹が立ちました。だってそいつらは縄張りの中にある<特にお気に入りの場所>とかまで布団のようなものをかけてしまったのですから。


すると唯一、縄張りの中で勝手なことをするのを許している人間が、


「おいで」


と大好物のエサを用意しながら声をかけてきたので、飛びついてその体を駆け上がりました。しかもその人間は大好物のエサを小さな籠に入れたのです。


その籠のことはあまり好きではありませんでしたが、知らない人間が何人もいるし、大好きな餌がそこにあるというのもあって、猫のルリアはそこに隠れたのでした。


猫のルリアにとっては本当にとんでもない出来事でした。縄張りを荒らされ、籠に閉じ込められ、知らない場所に連れてこられて。


でもそこには隠れるのに丁度いいのがあったので、とにかく隠れて様子を伺うことにしました。そこはいつも籠に入れられて連れて行かれる<嫌な場所>じゃないことは分かりましたけど。


いつも連れて行かれる<嫌な場所>では嫌な奴に身体中触られたりチクリと痛いことをされたりと散々な目に遭わされるのに、今回は何もされません。しかも、猫のルリアが唯一認めている人間が、


「大丈夫だよここはお医者さんじゃないから」


と宥めるように声をかけてきます。でも、まだ信じることはできません。


嫌な場所に連れて行く時にもだいたいそんな言い方をするからです。


ただ、大好物のエサを出してくれた時にはちょっとだけ顔を出してそのエサを食べましたけどね。


「……」


いつもは<嫌なこと>が終わると、縄張りに帰ることができました。なのに今回はいつまで経ってもその様子がありません。


なので猫のルリアも、クローゼットの中に隠れたまま出てこようとしません。唯一、仲間だと認めてる人間も戻ってきません。


帰ってこないのはいつものことですけど、こんなところに置き去りにというのは納得できません。


仕方なく、置かれたエサを少しずつ、周りを警戒しながら食べました。


でもしばらくそうしていると帰ってきて、猫のルリアが隠れているところを覗き込んで、


「まだ警戒してるのか。でもまあ仕方ないかな」


少し困ったように微笑みながらそうつぶやきました。


なのにその声の調子は、どこか嬉しそうにも聞こえるのです。だから猫のルリアの方もちょっとだけ安心できたような気がして近付いてきます。


すると、仲間だと思っている人間の方も手を伸ばしてきて。


だけど、『懐柔されてなるものか』とばかりに、猫のルリアはまた奥に下がってしまったのでした。



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