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契約内容

『この契約内容で問題がなかったらサインをお願いするよ』


ハカセにそう言われてカリナは契約書を読みます。それは、ミコナの家の空いている部屋を賃貸としてカリナに貸すという契約内容でした。お手伝いさんとしての契約についてはそのままなので、今回結ぶのは部屋の契約だけですね。


そこに記されていた内容は、本当に一般的な賃貸契約の文言をそのまま簡潔に表しただけのもので、なにも特別なものじゃありませんでした。


もちろん家賃についても記されています。今の部屋の三分の一以下の金額でした。それを見たカリナは戸惑った様子で、


「お家賃これで本当にいいんでしょうか? 安過ぎませんか?」


問いかけてしまいます。けれどそんなカリナに対してハカセは、


「だって、うちは業として部屋を貸すわけじゃないからね。『契約の上で部屋を貸している』っていう体裁を取れればそれでいいんだよ」


これもルリアから吹き込まれた答でした。


こうしてカリナは、<住み込みのお手伝いさん>として一緒に暮らすことになりました。彼女が元の部屋で一緒に暮らしていた<猫のルリア>もです。


「ごめんなさい。先輩の名前を付けさせていただきました」


猫のルリアを紹介する時、カリナは申し訳なさそうに頭を下げます。けれどミコナもルリアもハカセも、


「いい名前だよ!」


「そうね。悪い気はしないね」


「僕も問題ないと思う」


そう言ってくれて、


「ああ、気にする必要はない」


「むしろ何が問題なんでっか」


「かわいい」


「良いではないか」


「好きにしろ……」


ウルもティーさんもガーもオウもフカも受け入れてくれました。


これでオウ曰くこの家庭は<完全な形>になったと言えるでしょう。お手伝いさんまで含めて家族だなんて変だと思う人もいるかもしれませんけど、他の人は関係ありません。


この家はこれが一番自然な形なんですから。




カリナを迎えたことでミコナの家は完全な形を得ました。確かにカリナはお手伝いさんのままですけど、『お給料を払いたくないから家族にする』というのはさすがに違うでしょうから当面はこの形でいいでしょう。


そして猫のルリアもさすがにすぐには馴染んではくれないのも、カリナの部屋に閉じ込もったまま出てこないのも、それも問題ありません。そんな簡単に打ち解けられるはずがないのも分かってますから。


警戒しなくても大丈夫な相手だと分かれば自然と慣れてくれるでしょう。前の部屋でも爪研ぎはそれ用のでしてくれてましたしトイレもちゃんと猫トイレでしてくれるそうです。


それなら何も問題ありませんね。たとえなにか問題があったとしてもちゃんと一緒に解決するようにしてくれますから。それができるから一緒に暮らしていけるんです。



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