俺も行こう
普段は偉そうにふんぞり返ってるだけにも見えるオウも、実際にはこうして家族の手伝いをしてくれることもあります。もっとも、『気が向いたら』というのも事実ですけど。
そうしてウルに頼まれた壁の拭き上げが終わった頃、そこに、
「庭掃除終わりました」
言いながら勝手口を開けて入ってきたのはカリナでした。そして彼女はキッチンに向かって、
「今から買い物に行きます」
そう告げました。そんな彼女に対してルリアが、
「そこに買い物して欲しいもののメモがあるから、よろしくね」
キッチンの掃除を続けながら言います。
「わかりました」
応えたカリナは壁に設置された連絡用のホワイトボードにマグネットで留められたメモを手にして再び勝手口に向かいます。そこに、
「俺も行こう」
オウがお掃除ワイパーを片付けながら声をかけます。その上でウルにも、
「構わんな?」
問いかけたのでした。
勝手口から外に出たカリナは、物置を開けて、
「ドンキー、Wake up」
ドンキーが中から出てきました。すると、オウはドンキーに乗って、
「いざ、進め!」
声を上げ、そうして一緒に買い物に向かいます。その途中、
「どうだ、カリナ。もうそろそろいいんじゃないか?」
声をかけました。それに対してカリナは、遠慮がちに、
「本当にいいんでしょうか…?」
応えます。そんな彼女にオウは、
「いいんでしょうかという前に、そもそもよくない理由がない。俺達にはな」
やっぱりふんぞり返って偉そうな様子で言うんです。だけどカリナは、
「でも……」
申し訳なさそうな様子で。けれどオウは、
「ルリアに対してまだ未練があるのか?」
ストレートに容赦なく問いただします。これにはカリナも、
「いえ、決してそういうわけでは……!」
慌てて応えつつ、カリナは改めて自分の気持ちを考えてみました。
今ももちろんルリアのことは好きです。でも、かぷせるあにまるとして戻ってきたルリアとたくさんお話して、自分の気持ちも聞いてもらって、なんだか満たされてしまった感じも実はあるんです。
それで気付いてしまった。自分の気持ちは<恋愛感情>とかじゃなくて、<憧れ>だったことに。
そのことに気付けたらとても気持ちが楽になった。ルリアが亡くなって、気持ちの行き場を失って、それで心の整理ができなくなっていたことに、カリナ自身が思い至って。
そうですね。そういうものなのでしょう。
ルリアが生きていた頃にはお話ができなくて自分の気持ちがしっかりと確認できなかった。それをちゃんと言葉にすることで、ルリア本人とやり取りすることで、客観的に見ることができるようになったんでしょうね。




