逃がしてあげなきゃね
「あら。ガー、どうしたの?」
電子レンジの掃除を終えて、流しの上の収納の掃除に移ろうとしていたルリアが、床下収納の中でじっとしているガーの姿を見て声をかけました。
「ダンゴムシがいる」
ガーが応えると、ルリアも床下収納を覗き込んで、
「あ、本当。換気孔から入ってきちゃったんだね」
ルリアはもともとこの家で掃除とかしてましたから、換気孔から小さな虫が入ってきたりすることがあるのは知っていました。そして、
「逃がしてあげなきゃね」
と告げました。
「うん」
ガーも素直に応えます。
だけど手で掴もうとすると潰してしまいそうだったので、手にした小さなモップをそっと近付けて、片方の手をダンゴムシのお尻に添えるようにして、モップをくるんと回すように動かすと、モップの毛に引っ掛かったみたいにダンゴムシが乗ったのでした。
それを持ってガーはキッチンの窓から外へと。
モップにダンゴムシを乗せたガーはキッチンの窓から外に出て、なるべく日陰になる辺りにそっと下ろしました。だけどダンゴムシはモップに乗せた時に驚いたのか丸まってしまっていました。もっともその時にモップの細かい毛を巻き込んだのか、そのおかげで乗せることが出来たというのもあったみたいですけど。
だからガーは無理に振り落としたりするんじゃなく、草の間の地面にダンゴムシの体がつくようにしてモップを置いて、静かに待ちました。するとダンゴムシは、周りの様子を確かめようとするかのようにまず触覚を出してそれからちょっとだけ丸まっていたのを解いてさらに様子を窺うようにしていました。
ガーはそんなダンゴムシの姿を黙って見守っていました。だからか、徐々に体を開きつつ順に脚を伸ばして自分を捉え、体を正位に直して前へと進み始めます。
それを見送って、
「バイバイ」
ガーは手を振りつつ窓からキッチンに戻ったのでした。
ガーがダンゴムシを逃がしてあげた場所は、あまり日当たりの良くない、でもそのおかげで地面がカラカラに乾いたりすることはあまりない場所でした。床下から入ってきたんでしょうから本当は床下に戻してあげた方がよかったのかもしれませんけど、さすがに床下に入れる場所がありませんでしたし。
それに背は低くても草も生い茂っている場所だったことで身を隠すにもちょうどいいでしょうからね。
そうしてガーがダンゴムシを逃がしてあげてる時、ウルはトイレ掃除をしていました。しかも便器の中に入って上からでは見えない場所まで丁寧に掃除します。普通は嫌がるようなことかもしれないし、さすがに他所の家のとかは無理でしたけど、家族のそれだからウルにはできました。最初はあまり見られたものじゃなかったそこも、毎日掃除してるから綺麗なものです。
これも、かぷせるあにまるならではですね。




