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毛虫の観察

フカと一緒に公園に来たタムテルは、今日は毛虫の観察をします。公園に生えていた木にちょうど毛虫が止まっていたからです。


嫌いな人にとっては『絶対に無理!!』とか言われるそれも、母親からつらく当たられていた彼にとっては親近感さえ覚えるものだったでしょう。


「ふん、こんな小さくても生きてるんだな」


フカは木の幹を這っている毛虫を見ながら口にしました。するとタムテルが、


「そうだよ。大人からしたら小さい僕だって生きてるんだから」


呟くように応えます。彼の言うことももっともですね。


毛虫だって、生きています。タムテルだって生きています。意地悪されて嬉しいわけがない。タムテルは小さな生き物に意地悪をしていたことで自分が母親と同じことをしているんだと気付かされました。本当は親が教えなきゃいけないことを、フカがいてくれたことで心に余裕ができて自分の行いを客観的に見られるようになったから気付けたのでした。


毛虫は、その小さな体に毒を持つ毛をたくさん生やすことで身を守ろうとしています。だけどタムテルの体には毒を持った毛なんて生えてませんし生えません。だから小さく身を縮めるしかありませんでした。でも、体が大きくなって力が付いてきたと実感できれば、母親よりも自分が強くなったと思えたら、どうなっていたでしょうね。


そうなる前にフカと出会えてそれで気持ちを和らげることができたからそうならずに済んだのかもしれません。もちろん最初から意地悪されなければそんな心配もなかったはずなんですけど。


木の幹をうねうねと這う毛虫からは、タムテルやフカの姿はどう見えているのでしょうか? 恐ろしい怪物に見えているのでしょうか? 触ると手が赤くなったり痛くなったりするのでタムテルは触らなくても、もし捕まえようとしたら簡単に捕まってしまいますね。


親の下にいる子供のように。


タムテルは、毛虫の姿を集中して見て、それをノートに写し取っていきました。決して上手とは言えない絵でしたけど、ただ見たまま感じたままをそこに込めたんです。


何か具体的に『これを確かめたい』『証明したい』という目的があるわけじゃありません。最初に目的を決めてしまうと自分が望む結果になるような見方しかできなくなるかもしれません。


タムテルの母親が彼に望んでいることと同じように。タムテルの母親は、彼に自分が思うような大人になってほしいと考えて、少しでもそれから外れそうになったらとにかく叱責して、自分が母親として周りから評価されるように評価されるように、自分が評価されるような子供になってもらおうと、タムテルに押し付けてきました。


彼はまだ幼かったから、小さかったから、母親から逃げることもできなかったんです。


この毛虫のように。



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