やれやれでんな……
そうして百メートル以上逃げたところでようやくカラスは諦めてくれました。
「やれやれでんな……ワイがうまそうに見えたんかもしれまへんけど、そら思い違いってもんですわ」
ぼやきながらも家に帰ろうと周囲を窺うと、
「ん? 誰や……?」
何故かかぷせるあにまるの気配が。
「誰か迎えに来てくれたんでっしゃろか」
言いながらティーさんはその気配のする方へと飛んで行きました。でも、そこにいたのは、
「ありゃ? あれはセイラはんやおまへんか。ということは、この気配は」
大きな屋敷のテラスでテーブルに着いたセイラとセイラの大叔母様の魂を宿したフクロウのかぷせるあにまるがお茶にしていたのです。すると、大叔母様の方もティーさんの気配に気付いて、手招きを。
呼ばれてそれを無視するのもどうかと思い、ティーさんは近付いていきました。周りにはガードマンがいて身構えましたけど、大叔母様が羽をかざして制してくれます。
「ここ、セイラはんのおうちなんやね」
カラスに攫われて連れてこられたのは、セイラのお屋敷の近くの公園だったのがこれで分かりました。そんなティーさんに大叔母様が、
「お散歩ですか?」
穏やかに問い掛けます。けれどそれに対してティーさんは、
「それが、カラスに攫われたんですわ。餌と間違われて」
頭を掻きながら応えます。
「あらあら、それは大変でしたね」
大叔母様は少し驚いたように言いました。それを受けてティーさんも、
「まあ、大したことやおまへんけど。今から帰るところですねん」
改めて応えました。するとセイラが、
「ミコナさんが心配してらっしゃるのではありませんか? よろしければ電話でまず無事をお知らせしてはいかがでしょう?」
言いながら端末を出してきました。さらに大叔母様も、
「そうですね。それがよろしいかと」
言ってくれたのでした。
セイラと大叔母様に勧められて、ティーさんは、
「すんまへん。ちょっとお借りしまっさ」
セイラの端末を使って自宅に電話しました。すると、
「もしもし」
ルリアの声。
「あ、ルリアはんでっか? ワイや。無事カラスから逃げられたんで、今から帰りまっさ」
「そう! それは良かった。でも、それ、セイラさんの電話よね? セイラさんと一緒ってこと?」
そうです。電話の表示はセイラのそれになっていて、ルリアはセイラだと思って電話を取ったら聞こえてきたのはティーさんの声で、ちょっと戸惑ってしまったり。
「せやねん。連れてこられたんがセイラはんの家の近くやって、それで」
と説明します。
「そうなんだ? でも、無事でよかった」
ルリアがホッとした様子で応えると、傍で聞いていたミコナ達も内容を察してティーさんの無事が確認できて、喜び合ったのでした。




