早速、遠足が
ミコナもルイネもエンファも、結局、クラブ活動には参加しませんでした。だけど放課後に三人で一緒にバドミントンとかして過ごすから、別に退屈もしません。
そして今日は早速、遠足が。学校からバスに乗って、街を見下ろす山に登るんです。すると、フカがバスの屋根に乗ってついてきました。
「お前はミコナに甘すぎる!」
ミコナとルリアとガーがお風呂に入ってる間に、遠足についていくことにしたフカにオウはそう言いましたけど、
「うっせ! お前だってホントはミコナのことが心配なクセに!」
フカはそう言い返して、それを見たウルが、
「僕達もミコナが心配なのは一緒だから、フカに代表で行ってもらったらいいじゃないか」
と提案して、
「ま、そこが無難ってもんでっしゃろ」
ティーさんも賛成したことで、フカがついていくことになったんです。
ミコナのことが気がかりで付いていったフカでしたけど、そうそう事件とか事故とかあるわけがありません。そんなことがあるようなら遠足なんてできませんよね。だからホントにただただミコナ達は遠足を楽しんでただけです。
バスを降りて集まって、展望台がある中腹までみんなで歩く。途中、大きな人の顔みたいにも見える(と言われている)巨岩を、
「うわ~、おっきい……」
「でも、人の顔には見えないよね」
「そうだね。ただの岩だよね」
みたいに言いながら見上げたり、滝を眺めたり、
「あ、鹿だ! 鹿がいる!」
「あまり大きな声を上げないようにしてください。怖がってしまいます」
鹿に遭遇したりしつつ、お昼前には展望台のある広場に着いて、みんなお弁当を広げます。ミコナも、ルリアとガーが作ったお弁当を広げて。
だけど、何人かは、それこそ朝にコンビニで買ってきたお弁当や、スナックパンをお弁当代わりに持ってきた子も。タムテルもその一人でした。でも、誰もそれを馬鹿にしたりしません。
人にはそれぞれ事情があるだけなんですから。実を言うとフカが気にしてたのは、そういうところも含めてですね。ミコナと一緒にいる生徒達がどんな感じなのか、教師はどんな感じなのか、という部分が気になっていたと。
もちろん今までも見てましたから大丈夫とは思いつつ、この年頃の子供って、大きくなるにつれ性格が変わってくる子もいますから。あどけなさが薄まって世の中のいろいろも分かってきて、大人の真似をし始めたりも。他の子に対して強く当たるようになる子もいたりします。
『自分の方が強いんだ』
というのを見せることで優位に立とうとしたり。その中で、他の子を攻撃する理由を探してたりもすると。
手作りお弁当を上に見て、そしてコンビニのお弁当や総菜パンとかスナックパンとかは下に見て、マウントを取ろうとする子もいたりしますね。でも幸い、そういうのはいない様子です。
「……」
広場の外れの木の上から様子を見てたフカも、安心した様子でした。