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あくまでお手伝いさんとして

こうしてハカセはミコナと一緒に家のこともしましたけど、でも研究の方はミコナが保育園に行っている間だけだと捗りません。


「……」


これにはハカセも焦れるのを感じてしまいます。


少しでも早くルリアを迎えるための発明の形にしたい。でもだからといってミコナのことを蔑ろにはできない。そんなことをすれば間違いなくルリアに叱られてしまうでしょう。それじゃダメなんです。


いえ、『ルリアに叱られることがダメ』なんじゃなくて、ルリアに叱られてしまうようなことをミコナに対してしてしまうのが、ハカセ自身許せない。


「どうしたら……」


そう考えて思い付いたのが、


『お手伝いさんを雇う』


ことでした。


そうしてまずは家のポストのところに『お手伝いさん募集』と書いただけの手製のチラシを貼り付けてみました。


だけど、ハカセとミコナの家はとても閑静な住宅街の中にあり、道を通るのは近所の人くらいなもの。


それではさすがに応募はないでしょうね。


ハカセはその辺りちょっと疎いので無理もないのに加えてミコナもまだ幼かったこともあって、


「おてつだいさんきてくれたらいいね」


ただただ無邪気にそう口にしたのです。


だけどまさかその願いが届いたわけじゃないんでしょうけど、


「表の貼り紙見たんですが……」


なんと次の日にはもうそう言ってくれる人が現れたんです。


カリナでした。


この頃はまだあくまで一方的に慕っていただけなのでルリアとは直接の交流はなかった彼女ですけど、友達がルリアの部活動の後輩だったことで訃報が届いてそれを介して事情を知った彼女が、


「先輩……そんな……」


ショックのあまりいてもたってもいられなくなって、挨拶だけでもと考えて訪れたところ貼り紙を見て、思わずそのまま声をかけてしまったんです。


事情は知らなかったハカセとミコナですけど、さっそく応募してきてくれた優しそうな人を見て、


「ありがとうございます」


揃って頭を下げたのでした。


そうして、カリナをお手伝いさんとして雇うことになったんですけど、家の中の小さな祭壇に飾られたルリアの写真を見た途端に、


「先輩……!」


って言葉を詰まらせて泣き出してしまって……


「すいません……先輩にはとてもお世話になったものですから……」


いきなり泣き出したことをそう言ってお詫びする彼女に、ハカセは、


「ありがとうございます」


深々と頭を下げました。


その日からさっそくお手伝いさんとして働き始めたカリナですけど、さすがにプロのお手伝いさんというわけではなかったので、最初はそんなに手際が良いとは言えませんでした。


それでも少なくともハカセよりは上手でしたから、ハカセはすごく大助かり。


だけど、『あくまでお手伝いさんとして働かなければいけない』という思いが強かったカリナは、ミコナが一緒にやろうとすると、


「ああ! 私がやりますから!」


慌ててそう言ってしまったのでした。



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