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命の実感

先史文明についてはハカセは門外漢なので一般的に言われてる程度のことしか分かりませんけどそれでも今の二十億という人口でも大変なものだと思うのにこの惑星に百二十億もの人が住んでいたというのはそれこそとんでもないことだという印象しかありません。


しかもその頃には、何度も頻繁に戦争が起こって、普段も事件が多くて、今のこの世界では人が命を落とすような事件はそれこそ大きな騒ぎになりますけどそんなのが毎日のように起こってたと言います。


『なんて恐ろしい世界なんだろう……この子のためにも今のこの世界をそんなのにしちゃいけない……』


自分の膝ですやすやと安心しきった寝息を立てるミコナを見てそう思います。


それと同時に、


『そういえば先史文明では亡くなった人の魂が帰ってくることはなかったって聞くけど当然かもね。そんなに人がいたら帰ってくる魂だけでも大変なことになりそうだ』


とも思います。


そうやって先史文明のことにも思いを馳せながらハカセはミコナの体温と重みを感じます。それは命のあたたかさと質感と言ってもいいでしょう。


今のこの世界では亡くなった人は、本人が強い想いを残していて、そして再び会えることを強く望んでくれる人がいると、帰ってくることができます。できるのはできるんですけど、帰ってきた魂の入れ物である<依代>は、人形であったり思い出の品であったり植物であったりと、やっぱりこのあたたかさと質感はそこにはないのが普通でした。


しかも夢の中でしかお話しできない。だから今でもそれを『気のせいだ』と言って信じない人もいます。


だけどハカセにはそれを信じない人の気持ちも想像できてしまうんです。


『この体温と重みこそが命の実感だったら、それがなかったらピンとこないというのも分かる気はするかな……』


って。


それからハカセは気が付いたら眠ってしまっていました。だけど、


「ふい……」


って声が聞こえてハッとなって目を覚ますと、ミコナがまたぐずりだしてて。時間を見たらもう一時間以上経ってました。しかも臭いも。またウンチでした。


「ルリア、起きて。授乳の時間だよ」


「ん……んん……」


ハカセに声を掛けられたルリアものそのそっと体を起こします。だけどやっぱりすごく眠そう。当然ですね。寝かしつけはハカセに任せてても、さっきからまだ二時間も寝てないんですから。


なんとか起き上がったけど、目の下にはひどいクマが。だけど生まれたばかりの赤ん坊の世話ってこんな感じです。それでも半分寝惚けた状態のままルリアは授乳の用意をしました。その間にハカセはミコナのオムツを替えます。


たったこれだけのことですけど、ルリアにとってはすごく助かってたのでした。



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