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Chapter1:開幕戦「予選」

 E-Fuel(空気中のCO2とH2を混ぜ合わせる事によって出来る合成燃料)とサーキットに設置された超小型核融合発電所、更には超大容量長距離無線送電システムを使用したモータのハイブリッドを動力とするマシンによって繰り広げられる「NEXT Race」誕生から6年目、昨年最終戦の「CNETHX」誕生の地、大阪関西万博サーキットにおける、武戦レーシングチームのルーキー「輪堂凛」と絶対王者たるキング「ロレンツォ・M・サルヴァトーレ」との激戦、武戦レーシングの目標となる初のP1(一位)を獲得したの翌年より物語は始まる。


 昨年、最終戦において辛勝とはいえ勝利を会得した武戦レーシングは、会長こと九頭竜豪志の「次はドライバーズタイトルを取れ」との命令のもと、目下メインドライバー「22号車;輪堂凛」に加え、セカンドドライバーに「46号車;土谷恵一」を迎え、マシン2台体制での運用を発表し、今年の「NEXT Race」に挑んでいる。


舞台は、開幕戦GP1ネオ富士スピードウェイ 予選Q4

46号車の内部でドライバー「土谷恵一」が叫んでいる

「Ami!!凛がこのままのペースでゴールした際のタイムは!?」

武戦レーシングのマシンにインストールされている人工知能A.I.が答える

「このまま問題なければ1分27秒3〜6程度と予測されます。予選ではP5(5位)の可能性が高いです」

22号車の輪堂凛は、46号の後ろ1.3秒後ろを走行している。

46号車のドライバーは考える、現状今のペースだと自分は1分27秒フラット、輪堂凛に比べて0.5秒ほど早くゴールしてしまう計算だ。 僅かに、22号車にミスがあったようだ…。

46号車は最終コーナ(昔パナソニックコーナーと呼ばれているところ)を立ち上がる直前、

アクセル全開のタイミングを僅かに遅らせる。

直線の遥か先にゴールフラッグ振られている。このネオ富士スピードウェイは直線が2.5kmあり、最終の直線に入ってからゴールラインまでの距離が長い。

決勝のレースではこの直線における、最後の追い込みで勝負が決まることも珍しくない。

 狙い通り、22号車が追いついてきた、最後の直線に入った際に急激に46号車に近づいてくる、最後の直線に入った瞬間リボルバーストのトリガーを引いたようだ。

「よし!!、引っ張ってやる、ついてこい!!輪堂凛!!」

46号車もリボルバーストのトリガーを引く、体がシートに押し付けられるような加速が始まる。

リボルバーストは2秒間の間に+200kWの出力をハイブリッドモーターから引き出す。

46号車は2号車を引っ張るように加速を続ける。Closs the Line!!(ゴール!!)

ゴールラインを46号車に続いて2号車も通り抜けた。


予選Q3リザルト

1位;1号車;ロレンツォ・M・サルヴァトーレ 1:26,362秒 アドリアーノフォーミュラ

2位;2号車;アリス・サマーウッド 1'26.627秒 アリアンロッド・グランプリ

3位;22号車;輪堂凛   1'26.756秒 武戦レーシング

4位;46号車;土谷恵一  1'27.173秒 武戦レーシング 

5位;36号車;リチャード・パーカー 1.27.893 アリアンロッド・グランプリ

  

どうやら、トゥ(スリップストリーム)の効果で22号車の凛を引っ張る事に成功したようだ。

決勝のスタートでは2列目のグリッドは我らが武戦レーシングの2台が並ぶ事となった。


「よっしゃぁ!!2列目独占じゃねーか!!」 

無線でチーム監督の神楽千登世さんより連絡が入る

「やったわね、これは武戦レーシング存続に対して希望が持ててきたわ!!」

あのぉ、加入してから2ヶ月程の俺の前でそんな事言わないで…。

とりあえず、武戦レーシングには吉報をもたらせて良かったとホッとした。


俺の名前は土谷恵一、武戦レーシングのセカンドドライバーだ。


NEXTRace第5期、最終戦関西万博サーキット

去年は俺は、キング率いる「アドリアーノ・フォーミュラ」の一員だった。

俺はシュミレータ担当で、主にシュミレータ(ゲームよりもっと現実的に動くソフト)を

使用して、直近のレースのセットアップを決める、と言えばかっこいいかもしれないけど、

実際は俺の考えたセットアップはあまり使われず

AIが考案したセットアップを使用する事が多くあったと思う。


去年の最終戦、関西万博サーキットにも、チームの一員として参加していた

そこで見たのは、キングとルーキーの激闘。

ルーキーの使用していたマシンは、現代のAIがほとんどの操作を補助するマシンとは、全く動きが異なっていた。


あくまでAIの介入は最低限であることが、マシンの動きを見ていて理解できた。

キングもまた、AIの介入を極力嫌がっていた。

その二人が死力を尽くして戦う姿、眼前で行われていたレースに心が動かされていた。

眼の前の直線を通り過ぎる度に、ピットウォール(ピットレーンとコースを隔てる安全壁)近くまで近寄り、通り過ぎると無我夢中でピット内に設置されたモニターを見に行く。映し出される死闘に心が熱くなったのを今でも覚えている。


その後は居ても立っても居られず、上司に退職届を叩き渡し、その足で武戦レーシングの門を叩いたのが2ヶ月前。気づけば武戦レーシングのセカンドドライバーとして登録されていた。


予選が終わり、ピットレーンに到着順に車を止める。バディ(相棒)たる輪堂凛は3位なので専用のスペース(1〜3位は専用の取材用スペースに通される)に車を止めていた。

22号車のコックピットが開き、輪堂凛が車から降りてくる。降りた途端、嬉しくてたまらないのかうさぎの様にぴょんぴょん飛び跳ねている。


予選の後は、車はパルクフェルメ(車専用の保管庫)で一晩保管される。保管されている間は修理と軽いメンテナンス以外一切の手出しは出来ない。予選で使用したセットアップが決勝での順位を左右する。


マシンの出来は良い。46号車のドライバーである恵一は肌で感じていた。

恵一は心の中で吠える「首を洗って待ってろよ兄弟!!」


明日は決勝、本当の勝負はこれから始まる


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