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僕は今じゃこ天という名前で生きています。  作者: かねおりん


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『あたしの気持ち』

あたしは毛玉に最近隙あらばおしりに攻撃を受けているわ。


叩かれるわけではないけど、何なの!?


レディに対してなんて強引なやつなのかしら・・・。


というあたしも、毛玉に好みじゃない夜ご飯が出た時は「これあんまり好きじゃないからあげるわ」と食べさせて、毛玉がそれを食べている間に毛玉のおしりから情報を盗むけどね。


ちょっと勢いがついちゃって突き刺さるように情報を盗むから、さすがに毛玉もすぐ気が付くけど、あたしが好きじゃないごはんは毛玉の大好物。


ちょっと振り向いてすぐにごはんに戻るわ。


さすが食欲の権化。


どうやら、毛玉の情報だと自分の気持ちとあたしの気持ちを知りたいみたいね。


日々口にしている言葉たちがあたしの本音とは確かに言えないわ。


あたしは兄弟たちの死を見ている。


あの外での暮らしでは死はとても身近なものだった。


そう、外には実はいっぱいいる、あれら。


あたしの残りの兄弟たちと一緒にいた場所でも、衰弱していく者にはあれらがついていて、あれらがそっと触れた時訪れるのが死。


この毛玉は産まれて間もなく親とも兄弟とも離れ離れ、それでも各地であれらを見たことはあるようで、死を知らないわけじゃない。


でも、家族の死はあまり知らない。


それは、家族の死よりも先に毛玉が捨てられてしまったり、つぎつぎと場所を移動して家族も代わっていったから、家族を死ではなく失うことにはどうやら慣れてしまっているようなの。


嫌なものに慣れたもんね。


まぁ、あたしもたらい回しだったけど。


なんだかんだ言って、毛玉ともオトシャンやオカシャンとも、もう家族になってもうすぐ丸5年が経つのね。


みなみという名前からすみ美という名前に変わってからもう5年か。


そういえば、最初の頃毛玉は一日を4日と勘違いしていたわね。


あたしたちにしたら体感としては確かに一日は4日くらいだとおもう。


20年くらい一緒にいるようなものね。


最初はあんなに嫌いで嫌いでしょうがなかったこの毛玉ともそんなに長くいるとなんとなく、口で言ってるほど嫌でもなくなってくるのは不思議ね。


オカシャンの眠る前の歌が効いているのかしら?


朝目が覚めれば、毛玉とも仲良く擦り寄るようにもしているわ。


朝だけだけどね!あたしそんなに軽くないんだから!


重さじゃないわよ!まぁ、ここに来た頃に比べれば確かに重さも重くなったかもしれないけど、オカシャンたちが「すーちゃんご飯食べてねー」って言うから食べて大きくなっただけよ。


それなのに、オトシャンは時々あたしが乗ってあげると「すーちゃん重くなりましたねー」なんて言うから「あたし太ってないんだから!そういうこと言わないでよね!」と文句を返すわ。


オカシャンは「すーちゃんの長さが倍くらいになったね」と言うのだけど、確かに昔うっかりオカシャンの手を嚙んじゃったあのあたしだけが入れた隙間。


確かに入れなくはなったわね。


でもそれって背が伸びたってことよね。


いいことじゃないの。


5年も居れば背も伸びる・・・その前の3年間が背を伸ばせるほど栄養を取るのが難しかったってことよ。


毛玉はと言うと、夏と冬では見た目はだいぶ違うけど、意外にも体重はあんまり変わっていないらしいわ。


少しだけ重くなったみたいだけど・・・。


最近どうやらあたし、毛玉とあんまり変わらない重さまで成長したみたいなの。


太ったんじゃないわ。育ったのよ・・・。


ほぼ同じ大きさ重さになって、新しいおうちに来てから特にあたしと毛玉の距離は近くなったわ。


ちゃんと家族になったといってあげてもいいわ。言わないけど。


そんな毛玉は今、あたしに迫りくるあれらについては遺憾の意は出していないわね。


あたしの死、オカシャンの死を実際に経験してみて毛玉がどう思うのかを、あたしは何故か知りたいわ。


別に、毛玉が気になるわけじゃないのよ!


でも、あたしは兄弟たちの死と自分の死であたしがどう違うように感じるかも分からないから、参考程度によ?


あたしが死んでしまったら、オトシャンは放心状態から泣くかしら、オカシャンの事は分かってる・・・オカシャンはいつだって泣き虫だから。


だからあたしは野菜も食べて長生きするようにしているんだもの。


オカシャンも野菜は大好きでよく分けてもらって一緒に食べるの。


オカシャンもあたしも大好きなパセリあれは美味しいわ。


ただ、うっかり盗むとびしょ濡れになってしまうから、持っててもらわないといけないのが難点ね。


オカシャンは今どうしているかしら。


オトシャンはあれからオカシャンの話はしないわ。


ただあたしたちの写真を撮っているみたいだけど。


あれらはまだ、あたしに触れて来ない。


オカシャンについていったあれらはどうなったのかしら・・・。


オカシャンの先生が退治実験成功させたのかしら・・・?


それならオカシャンは何故このおうちにいないのかしら・・・。


もし、あたしじゃなくて毛玉が死んでしまったら、あたしはどう思うのかしら?


最初の頃なら何とも思わなかったかもしれないわ。


でも、今は・・・何か思うかもしれないわ。


兄弟たちの死とは違う、オトシャンの家出とも違う、この気持ちはなんて表せばいいか分からないけど、


一つわかっていることはあるわ。


恋ではないわ!あんな乱暴で失礼で甘ったれでバカなやつ。


そんな毛玉に恋はないわ。


それにあたしと毛玉は恋する気持ちを持っているのかしら?


オトシャンとオカシャンの喧嘩は少なからず色恋沙汰みたいなんだけど。


あたしたちはどっちかというとオトシャンやオカシャンを取り合うライバルのような関係よね。


ライバルが居なくなる・・・それって独り占めできるってことかしら?


それっていいことにも感じるけど、オトシャンやオカシャンがおうちに居ない時間は独りぼっちになるってことよね。


まぁ、今でも毛玉は居なくなったオカシャンのベッドで独りで昼間は眠っているし、あたしも昼間はこたつで眠っているからあんまり干渉はしないけど。


退屈な夜中話しかけたり喧嘩したりする相手は居なくなるのよね。


それって寂しくなったりするのかしら?


!!!!!あたしが死んだら毛玉は寂しくなるかどうかを気にするなんて・・・逆ならどうかななんて考えるなんて・・・あたし・・・疲れてるのね。


オカシャンが居なくなってからなんか変な気持ち。


あたしのこの変な気持ちはオトシャンに擦り寄って紛らわせることにするわ。


だってオカシャンは居ないんだもの仕方ないじゃない?


残りの時間はあたしのことが大好きなオトシャンに癒してもらわないとね。


オトシャンに擦り寄ると本当に毛玉はしょっちゅう叩いてくる!


やっぱりあいつ好きじゃないわ!ふん!

じゃこさんとすみびさんの気持ちは経験値で少し違うのかな?


男女の違いで違うのかな?


それとも性格かな?


なんだかんだとオカシャンの居なくなった生活は考える時間になったりするのかもしれないですね。


いつもご拝読ありがとうございます。


先日脳内投げっぱなしのようなものを何本か見つけて大慌てで文章に編集しました(笑)


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