表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は今じゃこ天という名前で生きています。  作者: かねおりん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/50

『パンデミックって何それ美味しいの?』

あたしは新しいおうちに来て分かったことがあるの。


前回のおうちに居た時にはあいつはどこまでも登ってきてあたしを追いつめたりしていたから逃げ場は布団の中や狭い隠れ家だけだったわ。


新しいおうちになってから、新しい家具も増えてあたしの探検心に火がついてあらゆる部屋のいろんな場所をあいつより先に占拠してやろうとおもったのだけど、あの毛玉はあたしよりもかなり探検しまくっているわ。


暑い季節の居場所、寒い季節の居場所ことごとく先を越される。


そう、ある一定の条件を満たしたところ以外はね。


あたしはどこまでも伸びやかで飛び上がれる美しい肢体を持っているのに比べて実はあの毛玉は階段がないと高いところには登れない事が判明したの。


リビングにあるテレビ台の横には階段となるものが設置されている。あたしがそこに乗ってくつろいでいたら、毛玉が追いかけてきたわ!


あたしはとっさにテレビ台から颯爽と飛び降りたわ。


毛玉は勢い余って落ちてトイレに激突していたのよ。


テレビ台の上は高すぎることもあって、あいつは飛び降りられないからそれ以来降りる時も階段を使っているわよ。


テレビ台の向かい側には食器棚があるの。このおうちの中で一番高い場所と言えるわ。


そこに行くには、まずカウンターテーブルに乗ってからハイジャンプで食器棚に上ることが出来るのよ。


あたしなら。


どうやら毛玉はカウンターテーブルの高さすら飛び乗ることが出来ないようであたしはそこでのんびり過ごせることが分かったわ。


リビング以外にも高い場所を何か所か見つけては乗ってみたりするのだけど、


オトシャンの部屋の本棚やクローゼットの上段までは、まぁそこまで注意されなかったけど、エアコンの上に乗った時には壁が軋む音でオトシャンに気づかれて、


降りるようにと注意されたので仕方なく乗らないであげることにしたの。


あたしは身軽なスレンダーだっていうのに失礼ね!あのエアコン。


毛玉とのすれ違いや一人になりたい時には、暑い季節は高いところにエアコンの風が来て涼しいからだいたい食器棚かカウンターテーブルの上にいることにしたわ。


寒い季節は先取りされはしたけど、暗い狭い封鎖されているような場所を怖がる毛玉は苦手みたいで、こたつがあたしの居場所。


病院に連れていかれる時にも大きなこたつはあたしには有利な逃げ場所。


まぁ逃げ切れたことはないわよ。


テレビをカウンターテーブルから見ていると世の中はパンデミックのようね。


あたしはパンが好きだわ。


海苔も葉野菜も好きだけど、外の世界ではパンは滅多に手に入らなかったわ。


オトシャンとオカシャンは朝ごはんにパンを食べる事がごくたまにあるのよ。


そんな時には「それあたしにも分けてくれない?」とおねだりをするのだけど、オカシャンたら「すーちゃんは食べないでしょ」とくれようとしないの。


あいつの生クリームやカスタードクリームはあいつがおねだりすればちょっとだけ貰えるみたいなのに。


海苔はおねだりで貰えるけど、毛玉は「うわぁすーちゃん真っ黒の変なもの食べてる。」と偏食家扱いをするのよね。


海苔を食べると思い出すのよ、あの下っ端を。


パンも、ものすごくレア食材ではあるものの外の世界で何回か食べたことがあったの。


バターの香りに塩味あれはとてもいいものだったわ。


オカシャンの友達にはパン屋さんが居て、オカシャンのわがままで生地を冷凍したものを無理やり購入してきてあたかもパンを焼いたかのような達成感にオカシャンは浸るのよ。


オカシャンはクッキーを作れば岩のように固い何かが出来上がり、ケーキを作れば膨らまない、小麦粉に嫌われているようで自ら1から作ることはほぼ諦めているようね。


そんなオカシャンはお友達のパン生地が大好きみたいよ。


いろんな形にしては焼いて楽しんでいたわ。


ところがこのパンデミックでそのお友達のパン屋さんが近く閉店することが決まったみたいなの。


駅前開発などの関係で立ち退きとなるらしいわ。


オカシャンは毎年バレンタインデーには沢山のデニッシュ食パンを友達にこれまたわがまま言って持ってきてもらって買っていたのに。


あんな嫌な思いをした職場だったのに毎年、全員分の食パンを用意してもらっていたわ。


そんな職場ともやっと縁が切れ、なんか大変な事を始めたオカシャンは心の病でありながらも、月に一度会議に出たり各所に電話して探偵のようなことをしては、資料をまとめたりしていたわ。


それがあまりにも想像以上に心にダメージがあるとは、オカシャンも思わなかったのでしょうね。


ほぼ毎日のように下手をすれば深夜でも対応を迫られるそんな役回りで、更に心は荒んでいったわ。


会議もパンデミックのせいで寒かろうが暑かろうが自分たちで体温調整をしなければいけないような場所で行われるそうよ。


そして、パンデミック故にやらなければいけない事が、通年通りにはできないなか、オカシャンは山ほどの企画を考えイベントを開催したりしていたわ。


そんな中、暑い季節には毛玉はまたあのへんな裸族にさせられ、このおうちに来て一年が経とうとしていたの早いものね。


オトシャンは相変わらずテレワーク時々いなくなるみたいな感じよ。


それでもだいたい当日には帰ってきたわ。


それなのに、ある日、オトシャンが帰って来なくなってしまったの。


パンデミックと何か関係があるのかしら・・・。


オカシャンもワタワタしながら早朝から出かけて行く日もあったわ。


それでもオトシャンと一緒に帰って来なかったのよ。


毛玉に聞いても「僕は知りませんでも、オトシャンはそのうち帰ってくるはずです。僕の事が可愛いから。」と、


あんまり信憑性のないことを言っているので逆におかしくなりすぎたんじゃないかと思うほどよ。


一週間ほどした頃、突如オトシャンは帰ってきたわ。


顔をパンパンに腫れあがらせて。


世の中パンデミックの中オトシャンは親不知とやばい歯を合わせて3本も全身麻酔で抜いてきたのだそうよ。


あたしも歯肉炎持ちだから気を付けないと・・・。


オカシャンが以前貰ってきた歯肉炎用のごはん・・・あれ食べたほうがいいのかしら。


少しオカシャンに相談してみようとちょっと人の振り見て我が振り直せだと思ったわ。


そんなこんなしていたら、今度はオカシャンが帰ってこなくなってしまったの。


スマホもおうちに置いたまま一体どこへ。


慌てるオトシャンは各所に連絡するもどこにもオカシャンは居ないと言われて困っていたわ。


毛玉に一応聞いてみたけど、「オカシャンはよくいなくなるから気にしなくてもそのうち帰ってくる」と言うのよ。


どうやら今回はオトシャンが何かやらかした事による「家出」が発動したようなの。


オカシャンは小さい時から色んな家出先を持っているみたいなの。


長ければ何か月も家出をしていたり、本当にどこを探しても見つからなくて職場まで行って、やっと説得して家に帰ってくるほどに頑固らしいわ。


ところが今オカシャンは職場がないじゃない。


オトシャンが探せるのは限られているわね。


ところが明け方、オカシャンはシレっと帰ってきたわ。


オトシャンへの怒りはそのままに。


きっとあたしをほおっておけなくて帰ってきてくれたんだわ。


喧嘩するほどなんとやらとは言うからまぁ、この二人にはよくあることなのね。


それも家族だからなのかしら・・・確かにあたしも毛玉と距離を置きたい事が毎日あるもの。


人間だってそりゃあるわよね。


とりあえず、オトシャンもオカシャンもたまに居なくなるけど帰っては来るのね。


ホッと一安心したわ。それが序の口だなんて今のあたしたちは知る由もなかったのだけど。

パンデミック宣言がなかなか解除にならないまま行動制限がかかっては解けかかっては解け、ストレスがかかる日々でしたね。

黒きレディことすみ美さんには新しいおうちは過ごしやすい場所も多く安心している中オトシャンもオカシャンもなんだか家を空けることが増え始めました。

皆さんも家出まで行かずとも相当家庭内のイライラは増したのではないでしょうか。

それを乗り越えていけるのかこの二人は・・・。


ご愛読いつもありがとうございます。ブックマークとご感想どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 猫の視点で家族を見ると、なんだか不安になったり、安心したり忙しいですね…。 そして人間は頼りないんだな、と思わされます…。 [一言] オカシャン、大丈夫でしょうか…ノイローゼじゃないか、ち…
2024/03/10 01:45 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ