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92.ケーキ

 オセラに手を引っ張られながら、絵里は少し早足で街の中を歩いて行く。


「ね、ねぇ、どこに行くの?」


「甘いもの、食べたいんでしょ?」


「そ、そうだけど……」


「もう少しで着く」


 も、もう少し……さっきオセラと友達になった場所から、ここまでで3分ぐらいだけど……なんか、どっと疲れた。


 ネヒィアを探さないと……でも……


「あっ……」


「どうした?」


「いや……人違いだった……」


 うぅ……銀髪で巨乳だったからネヒィアかと思ったのに……


 最近、身長がすごい勢いで変わってるから、ネヒィアの身長を聞かれても分からない。だから、銀髪で巨乳の人を探してるんだけど……


 探し始めたちょっと前から今までで、1人。この街獣耳ついてない人探すだけでも一苦労なんだけど……


「絵里?絵里!」


「わぁ、どうしたの?」


「着いたぞ。それにしても、大丈夫か?」


「えーと、何が?」


 オセラの心配した顔を覗き込み、絵里はきょとんと首を傾げる。


 オセラは、そんな絵里の顔を数秒見てから、


「さっきからボーッとして、ちょっと顔色も悪い。絵里、無理はするな」


「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」


 オセラ、優しい……けど、体は本当に大丈夫だからきっと問題ない。


「中、入らないの?」


「……入ろう」


 オセラと一緒に手を繋いでお店の中へ。綺麗な外観から、想像通り綺麗なお店の中。お客さんが数人席に座っている。


 お店に入って数秒、店員さんに席を案内される。そ席に座って、落ち着いてゆっくりと息を吐き、


「オセラは、よくこのお店に来るの?」


「まあ、時々」


「そう。それで……ケーキ?」


 少し辺りを見渡せば分かるけど、みんな美味しそうなケーキを食べている。ショートケーキとか、チーズケーキとか……


「絵里は好きなケーキ、あるか?」


「ショートケーキが1番好き」


「分かった」


 オセラはそれだけ言うと、手を上げて店員を呼んだ。そして、


「ご注文お決まりで?」


「ショートケーキ3つ……それと、ケーキ全種類1つづつ」


「かしこまりました」


 店員がスタスタ帰って行く中……ケーキってこのお店何種類あるんだろう……てか、オセラなんかうきうきしてない?


 絵里は、オセラを見ながらそんな事を思う。


「オセラ、楽しそうだね」


 あっ、表情が冷たくなった。


「楽しくない」


「えっ……私と一緒は、いや?」


「い、いやそんな事は……」


 戸惑ってる。可愛いなー


 絵里はにこにこしながらオセラを眺めて、ケーキが来るまでの時間をのんびりと過ごした。

今月ぜんぜん投稿できてなくてごめんなさい。ちょっとずつ投稿頻度戻していきます。


面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

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