90.お付き合い
「おい、大丈夫か?」
暖かい手で涙を拭われ、心配そうな声をかけられる。
絵里は何とか涙を止めて頷く。深呼吸を震えながら何回か繰り返して、ようやく少し落ち着きを取り戻した絵里は、
「絵里。白雪絵里……」
まだ少し震える声でぽしょりと自分の名前を口にした。それに一瞬戸惑った様な表情を浮かべる水色の髪の少女。けれど、すぐに名前だと理解したようで
「私はオセラだ。絵里、以後よろしく」
ぺこりと頭を下げて礼儀正しく、名を名乗ったオセラ。そんなオセラは、絵里に思い出したように問いかけた。
「そう言えば、何してたんだ?こんな所で?」
「えーと、人探し」
絵里の落ち着いた、しっかりとした声にオセラはいくらか安心したように、
「そうか。誰を探してるんだ?手伝うよ」
「そ、それなら……」
絵里はネヒィアの特徴を出来るだけ教えて、オセラの肩を借りて立ち上がる。
先程よりも体が痛く、力もまともに入れれない。そんな姿にオセラは、
「ちょっと見てあげるよ」
絵里の体にぺたぺた触れて、何やら頭を悩ませ、
「第八治癒術式……それと、第十二守護領域」
オセラは魔法陣を2個絵里に展開した。
「これで当分の間は大丈夫なはずだ。よし、行こう」
体の痛みが取れ力が入るようになった絵里は、
「あ、ありがとう」
お礼を言ってオセラに着いて行く。裏路地を抜けてると、大通りに出た。大通りの先には白くて大きな噴水がある。
どうやらそこが王国の中心らしい。
歩く速度を合わせてくれるオセラと一緒に、取り敢えず噴水に向かう。その道中
「オセラは何歳?」
「え、えーと15歳だ」
「この王国に住んでいるの?」
「いや、違うところに家がある。ここには興味があって来たんだ」
「……興味?」
絵里が首を傾げながらオセラに問うと
「珍しく、懐かしい気配をここら辺から感じて、一時期無くなったけど日に日に強くなって、大きくなっていく気配。そんな気配に対しての興味だ」
「へぇー、そうなんだ」
絵里は適当にそう返して、オセラをまじまじと見る。
エナより高い身長に、ハクよりも大きいおっぱい。大人びてて、しっかりとしている印象だ。
「オセラ……ねぇ、彼女とかいる?」
「いないな」
「ふふ、それならちょっと付き合って?」
絵里は、楽しそう言葉を発してオセラの手を握ると思いっ切り駆け出した。
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