87.心変わり
「ダメニャー」
気配もなく後ろから抱きつかれて、ぴくっと体を震わすハク。
握っていたドアノブから急いで手を離して、後ろにいる抱きついてきた犯人を見る。
「マーラ、離すのじゃ」
「それは出来ないニャー。好きな人、また変わったのかニャー?」
「えーと、それは……」
「はぁー、絵里ちゃんとネヒィアを邪魔しちゃダメニャー。イチャイチャしたいなら、エナとするニャー」
呆れたようにハクの耳元で言葉を発すると、すっとハクから1歩離れる。
そんなマーラをハクは一瞥してから、
「マーラ……我は、どうすればいいんじゃ?」
「……笑っとくニャー。想像の何倍も絵里ちゃんは今、小さくなってるニャー。ついでに性格まで……ハクは皆と仲良くなるニャー。それがきっといい結果になるニャー」
珍しくマーラがアドバイスをする。久しぶりにそんな事を聞いて、ハクは少しだけ笑う。
まあ、このマーラは忘れているかもしれないが一国の王女だ。ある程度は何事も想定しているのだろう。
それに……マーラがいい結果になると言うのなら、いい結果になるのだ。
「そうか、分かった。マーラ、感謝する」
ハクは何か決心がついたように前を向いて、扉を開ける。そして、マーラにチラッと視線を送った後
、廊下へとスタスタ出て行った。
それから、開いていた扉が閉まる。同時、マーラは独り言を零す。
「このままだと、絵里ちゃんは5歳ぐらいになるニャー。まあそれはそれで、可愛いから良いけどニャー」
♡♡◆◆
廊下を足早に進む絵里。紺色のワンピースがひらりとはためき、絵里を可愛く写す。
だが、そんな事今はどうでもいい。なぜなら、
「ネヒィアとエナって、どこの部屋にいるんだろう?」
全く聞いてないから分からない。全然分からない。
絵里は少し焦りながら廊下を行ったり来たり。ネヒィアとエナを見つける方法なんて絵里にはもちろんなく……やがて温泉の扉の前に着いた。
「ここって……あっ!」
絵里の頭にネヒィアが言っていた言葉がぱっと浮かぶ。確か、温泉を出た後両隣の部屋に寝かせたんだとか。
私とネヒィアが右で寝ていたから……絵里は左のドアを数回ノックする。
すると、
「主様?」
ネヒィアの声が中から響いてきた。
「入ってもいい?」
「いいよ!」
扉をゆっくりと開けて、中へと入る。中にはネヒィアとエナだけしかいない。
ネヒィアはいつものワイシャツに黒いロングスカートを着ていて……初めてネヒィアがちゃんと服を着ているところを見た気がする。
でも、とても似合っていて……そんなネヒィアの髪をエナが綺麗に結んでいる最中だった。
「ネヒィア、可愛いね」
「主様も可愛いよ?」
絵里の言葉にネヒィアは嬉しそうに返して、
「それじゃ、行こう。主様」
エナから離れて、絵里と手を取り、嬉しそうに絵里にくっ付いた。
えー、ごめんなさい。
投稿全然今週出来てない……金曜日と日曜日は投稿します。
面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマークそれと、
☆☆☆☆☆
↓↓↓
★★★★★
広告下の星を押してポイントを!ついでに、いいね!と思ったらいいね!ボタンをポチッと!
よろしくお願いします。