86.本当は違うけど
「着いたニャー」
マーラが扉の前に立って、指を指す。どうやらここがハクの使っている部屋らしい。
「それじゃ、入るニャー」
マーラが扉を開けて中に入る。それを追ってハク、絵里も中へ。
部屋の中は服が沢山かけられており、広いはずなのにどこか狭い部屋だった。
端にはベットが置かれており、おそらくハクが寝ているベットだろう。布団が綺麗に畳まれている。
「ねぇ、ハクはあそこでいつも寝てるの?」
「そうじゃな。姉様の部屋で寝るか、あそこじゃな」
絵里はハクが言い終わると同時、ハクのベットにダイブした。
「ハクの匂いがする」
「お、お主。馬鹿なのか?というか、馬鹿じゃろ?」
「いいじゃん、いいじゃん」
ハクは呆れながらため息を吐いて、頭を押さえる。絵里に怒ることも、絵里をやめろという事もなくハクは歩き出して、絵里の服を選ぶ。
今日の朝から絵里はころころと表情を変えては楽しそうに笑っているが、ハクとっては些か迷惑である。
ネヒィアと姉様に怒られるし、下着取られるし……はぁー、良い事が何も無い。
ハクは心の中でそんな事を思いながら、絵里の服をなんとなくで選ぶ。
絵里は白か紺の服を着れば大体似合う。特にワンピース。
けれど、少し前にネヒィアに見せてもらった、絵里が着ていた学校の制服も中々のもので、絵里に絶対似合う服だった。
ハクは悩みながらも色々な服を手に取って……ふと、何故こんなに真剣にやっているのか疑問を感じる。
別に雑に選んでも問題はない。それなら……でも、絵里には可愛い服を着て欲しい。自分が選んだ可愛い服を。
どうしてそう思うのか分からないが、何か変な感じ。ハクはそんなもやもやを晴らすように、服を手に取っては戻す。
これも違って……あれも違って……
「お主、これはどうじゃ?」
数分かかって、やっとハクは絵里に服を見せた。それは、紺色のワンピース。
膝を余裕を持って隠せる丈で、肩紐が細く肩と腕が大胆に出る。
絵里はそんな服を一瞬見て、
「着せてよ」
ベットから降りて、立ち上がる。
そんな絵里にハクは近付くと、言われた通りに文句も言わずワンピースを着せた。
「おー、いいね。流石ハク」
絵里が嬉しそうににこにこしながら、くるくると回る。
誰がどう見てもワンピースが似合っている可愛い絵里。少し子供じみていて……けれど、肩と腕が出ているからか少し大人っぽい。
子供のようにはしゃぐ絵里。そんな絵里は不意にハクを見て
「ありがと、ハク」
無邪気な子供のように笑みを向けてきた。そんな顔に、一瞬ハクはドキリとする。体の中になんとも言えない感覚が生まれて……
「は、早くネヒィアの所に行くのじゃ。我はやる事があるからな」
「えー、一緒に来てよ。ダメ?」
「ダメじゃ。ネヒィアと早く会いに行くのじゃ。我はもう怒られたくない」
「分かったよ。それなら、行ってくるね!」
絵里はハクに手を振って部屋から出る。そんな絵里を、扉が閉まってもなお見続けて……
「我は……」
ハクは体の、心の中に出てきた不快感みたいな嫌な感覚を消すかのように、気が付けばドアノブを無意識に握っていた。
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