84.あれ?
絵里の一言にその場の空気が凍り静かになる。時々味わうこの感覚は、どうも絵里に嫌な記憶を呼び起こし出し、それを隠そうと言葉を口にする。
「それで、なんで戻って来たの?エナ、ネヒィア」
絵里の問いに、ネヒィアがエナに一瞬視線をやってから、少し息を吐いて
「主様と仲直りするため」
「……?仲が悪くはなってないでしょ?」
絵里の返しに、ネヒィアは首を振って
「仲悪いよ。だから、仲直り」
「ふーん。それでエナはなんで?」
「付き添い、かな?」
ネヒィアに視線を向けられても、何も言わないエナを見て絵里は、2人に向き直る。
ハクの感触を感じながら、マーラが布団に包まるのを見て、絵里は笑顔を浮かべながら
「ネヒィアはさ、好きな人いる?」
「うん、いるよ」
「なら、その中で1番好きな人教えて。そしたら、ネヒィア、デート行こ」
何を思ったのか、絵里は穏やかにネヒィアとエナを交互に見る。
悩み、考えているネヒィアと、特に表情を変える事なく静かにどこかを見ているエナ。
ネヒィアはやがて答えを出したのか、絵里の瞳を覗いて子供のように笑うと、
「私が1番好きな人は、自分だよ。自分が1番好き」
「それなら、エナは何番目?」
「んー、2番目かな。ハクが3番目だよ」
ネヒィアの子供っぽい笑顔が、意地の悪い小悪魔の笑みに変わり絵里を楽しそうに見つめる。
絵里は表情を少し曇らせながらも、
「エナ、良かったね。エナもデートに来るの?」
「お姉ちゃんも来たらデートじゃなくなるから、私と主様の2人だけだよ。準備してくるね」
ネヒィアが部屋から出て行き、エナも同じように部屋から出る。
「本当に仲直りしたの。良かった」
「いや、まだだよ」
「な、なんでじゃ?」
「ネヒィア、めちゃくちゃ怒ってた。ついでにエナも」
絵里は少し外を見ながら考える。雨降らないかなー……無理か。
「そう言えばお主、なんでネヒィアとエナを怒らせたのじゃ?」
ハクの唐突な問いに、絵里は少し考えてから
「教えない」
一言そう返した。そんな絵里の顔を見て、ハクは少し安心する。どうやら、性格は元に戻りつつあるらしい。
昔の絵里という物にも興味はあるが、今の絵里の方が何倍も好きなハクは、
「お主に服を選んでやろう。それから髪をセットして……」
ハクは楽しそうに裸のまま立ち上がり、マーラを起こすと
「お主、マーラと一緒に来い。お主をちょっと可愛くしてやる」
眠い……誤字脱字を直しつつ投稿出来るように頑張ります。
9月中には終わるかな……?
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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