82.性格の縮み
「そう……なら、やめよっか」
絵里が想像していたネヒィアとは全くかけ離れた、驚く程に落ち着いたネヒィアが絵里の瞳を覗く。
ハクも少しだけ安心したのか体から力が抜け、絵里に寄りかかる。
ただ、エナだけは怒ったままで絵里を睨む。
「いくら絵里ちゃんでも、許さない事はあるわ。いい加減にしなさい」
視線と声が絵里を貫きゾッとする。恐怖が絵里を支配して力が抜ける。
鼓動が速くなり、大きくなる。息がつまり、動けない。
きっとハクがいなければ、恐怖のあまりわなわな震えて、漏らしていた事だろう。
「エナ。何に怒っているの?」
ハクを抱きしめ直し一呼吸置くと、絵里は震える声を抑えて、首を傾げる。
流石にやり過ぎているのは自分でも分かっている。本当はすぐにでも謝りたいが……自然と口から出る言葉は、相手の癪に障る言葉ばかり。
「関係ないじゃん?エナはさ」
「いいえ、関係あるわ。私の妹を、傷付けないで頂戴」
「えっ、ネヒィア傷付いちゃった?大丈夫?」
絵里のわざとらしい態度をネヒィアは無視して、エナを見ると、表情を変えずに真顔で
「ありがと、お姉ちゃん」
お礼を言って、再び絵里に視線を戻すと
「また、明日。主様」
それだけ言うと、スタスタと歩いて部屋から出て行ってしまう。それを慌ててエナが追い、2人は部屋から姿を消す。
それから数秒して、絵里はハクを抱いたまま力なくベットに横になる。
「あー、どうしよう。怒らせちゃった」
「わざとなのに、何言ってるニャ?」
ずっと黙って布団に隠れていたマーラが、呆れながらそう言う。
「絵里ちゃん。流石にダメニャ。髪を切ったかと思えば、キャラ変かニャ?長い方が良かったニャ」
そんなマーラの言葉に、そう言えばショートってそんなはずない。絵里は嘘だろうと思い自分の髪を触ると、
「本当にショートになってる。髪、切ってないのに……」
ポツリと出た絵里の言葉を聞いて、さっきまで微動だにしていなかったハクが、少しだけ納得したように一つ頷くと、絵里の耳元で喋り出す。
「そうか、お主。性格も若くなったんじゃな。体も小さく若くなったが、まさか性格までとは……」
少し心配そうに絵里を見て……何を思ったのかハクは、ころっと話を変えた。
「それで、どうするんじゃ?お主。ネヒィアと姉様を」
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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