81.怒りと殺気とデート
目を見開くエナと、表情を少し曇らせたネヒィア。そんな2人に絵里は、
「それで、何か用?」
ころっと話を変えて首を傾げる。
そんな絵里に対して2人は少しだけ間を置いた後、不思議そうに絵里とハクを見て、エナは微笑み、ネヒィアはジト目になる。
「良かったわね、ハク。もう知らないわよ?」
「主様。デートの直前に浮気は良くない」
エナとネヒィアはいつも通り、何気もなく言葉を発する。
それが気に食わない、昨日虐められたことを根に持っている絵里は、昨日と同じメイド服を着ているハクを脱がし出す。
「お、お主、やめろ」
力ない言葉と力ない抵抗をするハクを無視して、ハクを下着だけにする。布団をめくって全身を見せ、絵里はハクの下着に手をかける。
「白い下着を着てるのかと思ったけど、水色なんだ。ねぇ、下と上どっちを先に脱がして欲しい?」
「も、もうやめろ。お主、今日はネヒィアとデートなんじゃろ?」
「えーと、そうだっけ?」
ぐっとその一言で部屋の空気が重くなる。絵里は心の中で怒れるんだー、なんて思いながらハクのブラを脱がす。
まだネヒィアは言葉を口にしない。もう少し惚ければきっと、先にエナが言葉を口にして仲裁に入るだろう。
ネヒィアは絵里に怒らない。エナもハクも絵里自身も分かっている事実。
だからこそ、絵里はヘラヘラと笑いながらハクとだけ会話を続ける。
「ほら、足曲げて。パンツが脱がせられないじゃん。逃げようとしないで」
「我は嫌じゃ。こんな事には巻き込まれたくないのじゃ。離せ!」
「嫌だ。離さない」
「ネヒィアは、悪かった。許してくれ。全部我が悪いんじゃ」
絵里の力に勝てないと思ったハクが、絵里にパンツを脱がされそうになりながら謝る。まるで浮気がばれた時のように……
けれど、ネヒィアは無反応でただ絵里を見つめる。
それに気付かぬ振りをして、絵里はハクを思いっきり抱きしめてパンツを脱がすと足を絡めて、手を繋ぐ。
「ハクー、今日はどうする?」
「ネヒィアとデートじゃろ?早く支度を……」
「えー、ハクと一緒がいい。ダメ?」
「ダメダメダメじゃ!お主少しはネヒィアの気持ちを考えろ!」
マジでハクに怒られた絵里。ずっと逃げるように、意味の無い言葉を言うと思ってたのに少し予想外。
絵里は少し驚きながらも、次はエナに怒られる……言ったら後悔する言葉を口から絞り出す。
「でも、デートって疲れるじゃん?」
デートに行ったこともないくせにそんな事をほざく絵里は、物の見事にエナに一瞬殺気を向けられ、部屋の空気が異常な程に重く冷たくなり鳥肌が立つ。
「絵里ちゃん。言い過ぎよ」
ネヒィアが深い息をする中、エナは絵里に怒る。
そんなエナの怒りに、ハクは震えながら動きを止めて、絵里の手をぎゅっと握る。
そんなハクの中々空気を読まない行動で、絵里は体の震えを抑え、ハクに抱きついているからこそ動く口を使って、言葉を言う。
「やだ。ネヒィアとなんてやだ。つまんない」
プツンと幻聴なのかどうなのか、糸が切れる音が重く冷たい部屋に響いて……
絵里は怖すぎて気を失わないようにハクに思いっ切り抱きつくと、聞こえて来るであろう声に構えた。
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