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79.嫉妬と驚き

 

 チュンチュン……


 可愛い小鳥のさえずりが絵里の耳をくすぐり、絵里はゆっくりと目を覚ます。


 目を開けると窓から射し込む太陽が容赦なく襲い、絵里はまた目を閉じる。


「……眩しい……眠い……」


 布団にくるまって、二度寝の態勢に入った絵里はベットに頭を擦り付け、それが気が済むと再び絵里は眠りに……


「朝ニャー!絵里ちゃん!」


「うるさい!」


「そ、そうな怒らなくてもいいんじゃないかニャー?」


 二度寝を邪魔された絵里は、気に食わない様子で布団の中から声を荒らげる。


 そんな状況にマーラは、絵里に縮こまった様子で言葉を返し続けて、


「起きるニャ。謝るから、寝ちゃダメニャ!」


「……知らない」


「お願いニャ。絵里ちゃん」


 怒った絵里と焦ったマーラは互いに布団を引っ張りながら、言い合いをする。


 絵里は口数は少ないものの布団を断固として離さない。


 マーラは口早に言葉を並べて、絵里を起こそうとビクともしない布団を引っ張る。


 このままでは埒が明かない、そう思ったマーラが


「絵里ちゃん。起きて、自分の身長を見るニャー。けっこ……ちょっと小さくなってるニャ。ついでに胸もニャ」


「………」


 マーラの言葉が胸に刺さったのか、布団が少し動く。


「起きて、ネヒィアと背を比べてみるニャ。ついでに胸も!」


「………」


 布団が動いて、絵里の綺麗な足が見える。


「寝る子は育つって言うけどニャ、絵里ちゃんはもう手遅れニャ」


「うるさいってば!」


 絵里から布団を奪い取ったマーラは得意げに笑顔を浮かべて、絵里に聞く。


「まずは、朝ごはんを食べるニャ。何か食べたいものあるかニャ?」


「……皆、嫌い」


「……みかんと、キウイかニャ?」


「……私、変な事したの?……どうして……どうして?なんで……皆いじめてくるの?」


 いよいよ本気で傷付いた絵里は、ベットの上でお馴染みの体育座りをして下を向くと、涙を零し始める。


「え、絵里ちゃん。その……」


「……ミルク」


「ニャ?」


「ホットミルク持って来て!」


 戸惑っているマーラに向けて、怒鳴りながら絵里は枕を投げて睨む。


 なんかデートとか言っていたが、もう行く気なんて皆無の絵里は、


「早くして」


「わ、分かったニャ」


 ホットミルクだけ飲んで寝ようと、一言でマーラを部屋から出て行かせ、新しい掛け布団を創る。


 裸のまま、その掛け布団にくるまって涙を軽く拭くと、丁度マーラが部屋に戻って来た。


「ホットミルクニャー。そのさっきは……」


「はい。ごちそうさま」


「ごめん……ニャ。許して欲しいニャ」


 熱くない……丁度いい温かさのミルクを一気に飲み干すと、ガラスのまだ温かいコップをマーラに押し付け、絵里は横になる。


「昨日、私以外が楽しそうに絵里ちゃんの部屋から出て来て……その、いいニャーって……」


「……で?」


「ずるいと思ったニャ!私も絵里ちゃんと一緒が……いいニャ」


 反省していると言うか、後悔していると言うか……悲しそうに最後の言葉を呟くマーラ。


 絵里はマーラを一瞬見て、掛け布団を上げると空いた場所を手で擦る。


「いいのかニャ?」


「好きにすれば」


「それなら喜んで、ニャ!」


 マーラが嬉しそうに笑って、絵里のベットに入る。体をもぞもぞさせて、絵里にぴったりとくっ付くと、


「絵里ちゃんの匂いニャ。凄くいい匂いニャ!」

 

 マーラが絵里の匂いを必死に嗅ぐ。


 絵里はそんなくすぐったい感触を感じながら目を閉じ……


 ドタドタドタ!!


 廊下を誰かが爆走する足音が、絵里の心を逆撫でする。


 絵里は心の中でため息を吐きながらも、部屋の扉を閉めようと、目を開けて扉に視線をやる。


 そうして魔法で扉を閉めようとした時、廊下を爆走していた誰かは意外にも速く、絵里の部屋に飛び込んで来て……


「マーラ、我のホットミルクを返せ。急に取って来たかと思うと、逃げよってから……に……」


 絵里の部屋に来たのは、少し息が上がっているハクだった。


 そんなハクと目が合うと、ハクは言葉の途中で驚いた様に目を見開いて……絵里の髪を見ながら、


「お主……ショートにしたのか?」


 首を傾げながら、不思議そうにそんな事を聞いてきた。

寝る前のホットミルクって、1~2時間前に飲むのがベストなんだとか!


面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

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