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7.神獣殺し

 絵里(えり)のパンツは、()れてネヒィアの物となり、エナは悲しく不機嫌そうに、絵里は現実逃避をしようと……温泉に浸かって温まっていた。


 まあ幸い、絵里の白いパンツは破かれなかったので、ネヒィアに返して、と命令すれば問題なく返って来るはずだ。


 だが、その事に絵里は気づけていない。だから、エナと仲良く温泉に入って、何も考えないようにしている。


 ちなみにだが、もう少し付け加えるとすると、制服も全てネヒィアの物となって、絵里は着る物がなくなった。


 何故そうなったのか?それはじゃんけんと……口喧嘩。その結果である。


「ネヒィアは、あんな子じゃなかったはずよ。誰なの?私の可愛い妹は、どこに行ったの?」


 エナの悲しく小さい、(なげ)きが聞こえてくる。


 ネヒィアがパンツを奪った後、エナはネヒィアにジャンケンで勝負を挑み、パンツを奪おうとした。そしてなんやかんやあって何故か、


 上着、セーター、ブラウス、ブラ、スカート、パンツ、靴下、靴の計8点。それぞれをかけて、じゃんけんをする事になった。まあ、それは絵里だけで……


 エナは、3戦だけやりネヒィアの言葉によって、地面に突っ伏す事になる。まあここはあえて、何を言われたのかについては……触れない。


 絵里はエナの嘆きをスルーして、ボッーっとしながら辺りを見渡す。


 はぁー、服どうしよっか……あっ、ネヒィアさん。パンツは頭に被るものではないですよ?けれど、似合ってますね。私のパンツ。


「ネヒィア。ああ、ネヒィアー」


 ネヒィアを微笑ましく見守る絵里と、悲しい声をあげるエナ。


 だが、そんな2人に見向きもせずネヒィアは、嬉々としながら魔法を使い、ずっと何かをしている。


 あっ、そう言えばウリ坊の事だが、不機嫌になったエナによって温泉の外でボコボコにされて、叩きつけられ、気絶。完全な八つ当たりを貰った。


 だが嬉しい事もあって、温泉が少し広くなったのだ。


 まあそれと、エナが落ち着いた事ぐらい、かな?ちょっとだけキレたエナさん、めっちゃ怖かったし……今は可哀想な人になってるけど、さ。


「ああ、昔は優しい子だったのに……」


 エナのそんな懐かしむ様な呟きを聞いて、絵里はやっと現実逃避をやめる……というか、開き直った。


 服がなくなったぐらい、どうでもいい。別に裸でも、問題はない……はず、たぶん。


 そう自分に言い聞かせると、温泉の端っこにいるネヒィアに歩いて近づき、声をかける。


「ネヒィア、何してるの?」


「あっ、主様(あるじさま)ー♡。あのね、魔法で服を作ってるの」


 可愛く軽い声で振り返り、ネヒィアは絵里に反応するが……ネヒィアの頬が少し赤い。それに、なんというのか、エロい意味で溶けている……?


「主様。だーい好き。見て見て、服、できたよ。難しかったけど、ほら!」


 ネヒィアはそう言いながら、絵里に服を見せる。その服は……半袖のブラウスだった。絵里が着ていたブラウスは長袖。ならば、本当にネヒィアは作ったのだろう。


 それにしてもこのブラウス、輝いてる?キラキラと色々な色に変化しては……


 まあそんな事より、ネヒィアの作った服を褒めようと、口を開きかけた、そんな時、


「ネヒィア?大丈夫?」


 ネヒィアが絵里に向かって歩き出して……ふらっとよろけて転びそうになる。それを絵里は、慌てて支えネヒィアは転ばすに済んだ。けれど……


 どちらとも裸なので、体温が(じか)に伝わって来る。だから、すぐに絵里はネヒィアの異変に気が付いた。


 それはまるで、熱が出ている時のように、体が熱く……酔っている時の様に……


「主様、主様♡。あったかいねー」


 テンションが高い。


 絵里は少し嫌な予感がして、ネヒィアを支えたままエナの方に視線を向けた。エナは大丈夫そう……?


「ネヒィア?ネヒィアー!どうして、私はこっちよ?」


 エナは誰もいない場所に向かってそんな事を言っていて……あっ、重症。


 絵里はとりあえず、ネヒィアと服だけを持って温泉を出る。そして、


「ネヒィア。私の服、返してくれる?」


「もちろん。主様と同じ服を作ったから、いいよ。全部返すね」


 ネヒィアは嬉しそうに絵里に語りかけ、服を全て返してくれる。絵里は、ラッキーと思いながらもその場に服を置き、再び温泉へと入る。


 そして、もう何も言わなくなったエナをなんとか連れて、温泉を出た。


 ぼーっとしているエナを地面に寝かすと、ネヒィアは半袖のブラウスのみを着て……絵里に微笑みを向ける。


 ネヒィアが作ったブラウスは、サイズが少し大きめに作られているのか、1枚だけでちゃんと大事な所が全て隠されている。一言で言うと、まじエロい。


 ま、まあそれはそれとして、エナの分は作ってないのだろうか?


「ネヒィア、エナの服は作った?」


「作ってないよ。面倒だし、大変だから」


「あっ……そうなんだ」


「ネヒィアー、いやー」


 エナが急に悲しく叫ぶ。だが、それを言い終わった瞬間ぐったりと眠った。


 意外だったのは、エナの寝顔が可愛い事だが、(よだれ)を垂らして寝るのは……まあ、いい。それよりも、


「ネヒィア。ここって本当に温泉?」


「えっ、違うよ?何言ってるの主様。ここはね、お酒で出来てる『神獣殺し』っていう場所だよ。普通の人なら、近づくだけで気絶する場所」


 ネヒィアが嬉々としてそんな事を……えっ?やばくない。近づいただけで気絶?じゃあ、なんで私気絶してないの?てか、お酒って……私、未成年なんですけど……やばくない?


 絵里がそんな事を考えて、テンションやばめなネヒィアに早くここから離れようと、そう言おうとした瞬間、


「ウォ―――――――――ォォ」


 エナが気絶させていたウリ坊が、咆哮をあげてこっちに全力疾走して来て……絵里の悲しい悲鳴と、ネヒィアの嬉しそうな、「あっ、食べ物ー!」なんて可愛い声が森の中に響き渡った。

鬼ころしってお酒ありますよね。あれ呑んだ事ないのですが、美味しいのでしょうか?まあ、それよりも朗報です。皆様のおかけで、この小説の累計PVが1000を越えました。本当にありがとうこざいます。次は累計10000を目標に頑張ります!

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