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63.頬っぺ

 

「嘘……でしょ?」


 絵里が泣きそうになりながら、そう言葉を零すが……


「現実を見ようね、主様」


 ネヒィアが絵里のおっぱいを触りながら、諭すように、


「うん。減ってる。おっぱいが減ってる!」


「いやー!やめて、もう、もう……そんな事言わないで!」


 ネヒィアの言葉に絵里は耳を塞いで、涙目になりながら首を横に振って、叫ぶ。


 き、聞いてない。まだ体痛いし、もうちょっと減るんでしょ。いや。いやだ……それに、育つ希望ないし……


 あれ?もしかして私、終わった?よく考えれば、高校生になってから、大きくなった覚えないんだけど……身長もおっぱいも……


 絵里は今更、そんな絶望を思い出して、この世の終わりを見たかのように、死にかける。


 だが、マーラが明るい声で、


「絵里ちゃんがそうなると思っての、このケーキニャー」


 絵里に希望を聞かせる。


「このケーキを食べれば、太れるニャー。胸なんて、所詮ただの脂肪ニャー」


 マーラの暴論じみた、そんな話。普段の絵里なら断る所だが、


「本当に?……大きくなれる?」


 絶望の淵にいれば、誰だって一筋の希望に縋るものである。


 絵里は顔をあげて、マーラに問う。


「本当ニャー。はい、どうぞニャ」


 マーラは頷き、絵里にケーキを差し出す。


 綺麗に切られ、お皿の上に大きく乗った淡いピンク色のケーキ。


 それをケーキと同時に渡されたフォークを使って、絵里は口に入れた。


「おいし……」


 思わず零れた感想を聞いて、マーラはにっこりと笑う。


 甘さ控えめで果物を使ったのか、少し酸味のある美味しいケーキ。


 そんなケーキを絵里はパクパクと口に入れていく。


 エナ、ネヒィアもマーラから無理やりケーキを渡されて、渋々同時に口の中へ。


「へー、意外と美味しい」


「確かに、意外と美味しいわね。悪くはないわ」


 ネヒィアとエナ互いに感想を言って、ケーキを少しずつ口に入れていく。


 なんか、やっと食事らしい食事の時間になる。


 お皿とお皿が当たる音。美味しい、という声。


 色々な音が混じって、ちゃんとした食事の時間になっていく。


 それから少し、各々が話をしながらご飯を食べる。それぞれの料理全てが美味しく、ハズレがない。


 と、絵里がケーキ二切れを完食して、三切れ目に突入しようとした時、ガチャと扉が開いて、ハクが姿をあらわす。


 絵里はハクに視線をやって、


「あれ?お風呂入った?」


 そう聞いた。


 ハクから湯気がポコポコとたっており、少し頬が赤い。


 なんというか、お風呂入った後の女の子ってエロいよね。なんでなんだろう……


 少し艶がでるから?それと少し、のぼせてる感じがエロいのかな?


 なんて、絵里が頭の中で考えていると、


「帰って来たのかニャ。食べたいものがあったら、好きな物食べるニャ」


 マーラが手招きして、ハクを呼ぶ。


 ハクはマーラに近付き、一言礼を言ってからある料理全てに一通り目を通す。


 絵里はハクから視線を戻して、ケーキをまた食べ始める。


 と、マーラが絵里に


「絵里ちゃん、後で一緒にお風呂入るニャー」


 耳元でこっそりと呟いて、


「ケーキがちょっとだけ、付いてるニャー」


 絵里の頬に付いたケーキを、マーラかペロッと舐めて、マーラが楽しそうに笑みを浮かべた。

面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

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