60.しずく
ハクとネヒィアの唇が少しずつ、少しずつ近づいていく。
それをエナと絵里は、静かに見守り……
「や、やめ……」
ハクはおろおろしながら涙目で、ネヒィアから離れようとする。もちろんネヒィアは、意地悪な笑みを浮かべ、ハクを逃がさない。
やがて、もうほんの少し……少しでも動けばキス出来てしまう距離まで縮まった。
ハクは顔を真っ赤に染めて震え、ネヒィアは少し嬉しそうでもあり、楽しそうでもある顔で互いに見つめ合う。
それが数秒続き……ネヒィアがハクを抱き寄せ、キスしようとした、その瞬間
スパッ……は少し言い過ぎだが、それに似た小さな音が響いた。それは、ハクとネヒィアの間にあったお肉をナイフで切った音。
次いでマーラが、そのままナイフをハクとネヒィアの間に詰めて、ハクとネヒィアはナイフ越しにキスをした。
何が起きたのか分からないハクは、驚きの表情を浮かべ、ネヒィアは少し機嫌が悪くなった声で、
「……マーラ。いい所だったのに」
「そんなの知らないニャー。馬鹿みたいな事してないで、早くご飯を食べるニャー」
ネヒィアの言葉に、マーラはため息混じりにそう返し、ネヒィアからハクを離す。
そんな光景に、エナと絵里は少しがっかりして、
「残念。せっかく面白いものが見れると思ったのに」
「絵里ちゃんの言う通りね。でもハク、可愛かったわ」
エナが少し残念がりながらも、ハクを褒め笑いかける。
それにハクは、
「う、うるさいぞ……マーラ……助かった。後で礼を言う」
ずっと顔が赤いまま、それだけ言って逃げるように部屋を出た。
そんな予想外の行動を見て絵里は、
「追いかけないの?マーラ」
首を傾げて質問してみた。それにマーラは
「別にいいニャ。後で帰ってくるニャー。それにちょうどいいニャー」
特に気にする事もせず、料理を取って絵里に渡すと、
「絵里ちゃんは、神獣2匹を生き返らせたニャー」
急に真面目な声のトーンになって、
「だから、絵里ちゃんの魂が神獣2匹に入ってるニャー」
「だから、何?」
マーラの言葉にネヒィアが反応して、首をかしげる。
そんなネヒィアとエナに視線をやりながら、
「別に問題って訳じゃないニャー。けど、気を付けた方がいいニャー」
そこで少し間をあけて、それから
「絵里ちゃんの魂、食べたら神になれるニャー。だから、食べられないように頑張るニャー」
そうマーラは言って、先程ネヒィアとハクのキスを阻止したナイフを一瞬で下から上へと振り抜く。
瞬間、バカでかいケーキが真っ二つになって……マーラは意地の悪い笑みを浮かべて、
「エナ、ネヒィア。絵里ちゃんのおかげで、神もどきになったお前達にお願いがあるニャー。頼まれてくれるかニャ?」
可愛い声でそう言うと、先程のナイフを見せつけて、マーラは何故か自分の指を少し切り、血の雫を地面に落とした。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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