58.親愛
とても……いや、そこそこ長い廊下をマーラに引っ張られながら歩く絵里。
誰もいない長い廊下って、なんだが少し学校を思い出す。
怖いんだよね。廊下に誰もいなかったら、さ。
自分の歩く音だけしか聞こえなくて……心細くなる。嫌だったなー、いつも。
なんて、絵里が思っているとマーラが大きく息を吸って……吐いて、
「絵里ちゃん。今はあんまり銀髪の神獣には近付かない方がいいニャ」
絵里を見ながら、マーラはそんな言葉を発してくる。
それに絵里は首をかしげながら、
「どうして?」
一言そう返す。すると、珍しくマーラが笑って
「食い殺されるからニャー。だから、絵里ちゃんは私が守るニャー」
ちょっと変な事を言いながら、ぎゅっと抱きしめてきた。
けれど……マーラが言った事が分からない訳では無い。なんとなく分かる。
ネヒィアって意外と本当に、肉食だよね。エナより圧倒的に……食べられたいな、ネヒィアに……マジじゃないよ?比喩だよ?
「絵里ちゃん。着いたニャ」
絵里がネヒィアで少し妄想していると、マーラが白い扉の前で止まり、絵里を抱きしめていた腕を少し緩めると、扉に手をかけて
「ここは、私の部屋ニャ」
そう言いながら扉を開けた瞬間……絵里は言葉を失って、ただ呆然とその場で固まった。
理由は単純で、とてつもなく広かったから。
奥が見えない。天井も高い。小さなお城とは思えないほどに、広かった。
「何もないけど、許して欲しいニャー」
マーラはそう言いながら、固まっていた絵里と一緒に部屋に入り、扉を閉めた。
そうして、マーラは数歩絵里から離れると、
「絵里ちゃん。この服を着るニャ」
魔法で即座にエプロンから、白いワンピースに着替えた。
部屋に驚いていた絵里だが、気を取り直して絵里も別にそれぐらいすぐに出来るようになったので、
「着替えたけど……?」
パッと着替えて、くるっと回った。するとマーラは満足したように、笑みを浮かべ絵里のワンピースに触れて、
「負けないおまじない、ニャ」
そう言ってなにかの魔法をかけて、マーラはすたすたと絵里を連れて部屋を出る。
お揃いの白いワンピースを着た2人は、また廊下を歩き……
「絵里ちゃん。本当に気を付けるニャ」
マーラが念を押すように、絵里の目を覗き込みながら言う。
「はいはい」
絵里はなんの事か分からないが一応返事をして……
「いい匂い……お肉?」
絵里は話題を変えた。
お肉のいい匂いがする方は、扉が無く部屋の中が見える。
中には誰もいない。でも、料理を作る音だけは聞こえてきて……
「ねぇ、マーラ。朝ごはんは、いつも何食べてるの?」
絵里はお腹が空いたのを我慢して、マーラに質問する。
「まあ、お肉ばっかりニャー。それよりも、絵里ちゃん……」
「主様。捕まえた」
マーラの答えを遮った声は、絵里に抱きつき頬ずりをして……
「主様。ありがと」
そう言いながら、チュッと絵里の頬にキスをした。
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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