55.指先
バサッと誰かに掛け布団が取られ、ついでにネヒィアも誰かに取られ、絵里の目には眩しい日光が入ってくる。
それに絵里は少し目を細め、腕を顔の前に持っていく。
と、絵里は眩しさに慣れていく中でぽつりと
「ベッド?」
首をかしげて一言そう漏らし、何故ベットで寝ていたのか?そんな疑問の答えを探そうと辺りを見渡す。
だがすぐに……
「絵里ちゃん!」
エナが大きな声で絵里の名を呼んで、ベッドへと押し倒す。
絵里はされるがまま、エナに抱きつかれて
「もう、妊娠した?」
エナのそんな一言を聞く。それに絵里は
「してないよ!嘘だからね?」
ちょっとだけ笑いながら否定して、ん?と思う。
もう、妊娠したって何?何をどうやったら妊娠するんだろう?あれ?ここら辺詳しく聞いてないような……
「よかった……ネヒィアに先越されたら、どうしようかと思ったわ」
「そ、そう……」
絵里の思考を断ち切るように、エナの安心した声が響く。そして……
「ねぇ、絵里ちゃん。せっかくだし、子供作る?」
エナが絵里を思いっきり抱き締めて、耳元でそんな事を呟く。
「えっと……エナ?ちょっと待っ……」
それに絵里は戸惑った返事をするが、エナはそれを最後まで聞くことなく
「愛してるわ、絵里ちゃん」
悲しげにそう言葉を発した。
それに絵里は目を見開き、思い出す。エナには酷いことしたな、と。
だから……絵里はエナを抱き返すと、くるっとエナと一緒に半回転して、今度は絵里が上になる。そして、
「エナは、誰かに見られながらの方が興奮するタイプ?」
「えっ?それって……あっ♡」
「エナって少し性癖歪んでるよね?」
「まっ、まっへ、絵里ちゃ、んっ♡」
絵里はエナと足を絡ませて、手を繋ぐと首筋を舐め始める。
そして、今度は耳に行こうと舌を離して
「エナ、大好き」
耳元でそう言葉を零し、舐め始めようとしたそんな時
「いい加減にするニャー」
マーラのブチ切れた声が、後ろから聞こえた。
「私の前で、朝から裸で……喧嘩売ってるニャ?……って、ニャッ?」
けれど、絵里はそれを無視してエナの耳を咥える。そして……
「エナ、やっぱり好きなんだよね?誰かに見られながら、ヤるの」
「ち、ちが……ひゃう♡ダメ、ダメダメッ♡」
「絵里ちゃん、やめるニャ!ずるいニャ!」
エナが体を震わして暴れ、マーラがエナから絵里引き離そうとする。
絵里はマーラに抵抗して、エナに抱きつき舐め続ける。
そんな光景をネヒィアは薄目で見ながら、少しだけ笑みを浮かべる。
いつもなら飛び込む場面。けれど、絵里が起きるずっーと前から、一人独占出来ていたネヒィアは
主様の指でもう1回……いや、今度は主様がちゃんと起きてる時に……
なんて少し興奮しながら、ネヒィアは嬉しそうなエナに向けてぽつりと、
「やっぱり、見られるのが好きな変態なんだ」
そう言葉を小さく零して、ネヒィアはとりあえず、寝ることにした。
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